でんぱ組.inc、武道館ライブを達成できたワケ もふくちゃん「我々よりも世間が変わっていった」

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登壇者、左から綿引啓太氏、鶴見至善氏、福嶋麻衣子氏、濱野智史氏。

 TwitterやUstreamなどを使った企画講座やイベントを行っている「ツブヤ大学」が、5月14日にアイドルビジネスの裏側を語るトークイベント『ツブヤケナイ大学アイドルビジネス vol.2 イマドキのアイドルの育て方』を行った。

 同イベントは、現在の日本のアイドルビジネスについて4名の識者が語るというもので、今回は気鋭の批評家/情報環境研究者でありながら、重度のアイドルヲタクとしても知られる濱野智史氏と、数々のアイドルユニットをプロデュースする音楽プロデューサーの“もふくちゃん”こと福嶋麻衣子氏のほか、海外アイドルファンから世界一のLike数を獲得するサイト『Tokyo Girls Update』を運営している鶴見至善氏、アイドルをキャスティングしたWebプロモーションを手掛ける面白法人KAYACの綿引啓太氏を迎えて開催された。

 「ツブヤケナイ大学」と銘打たれているように、同イベントのトーク内容は、Webでは発言できないような裏話がほとんど。イベントでは主に、もふくちゃんによる「アイドルのプロデュースについて」と、濱野氏による「新アイドルグループのプラン」について語られたが、濱野氏のプランはまだ公式発表できない内容とのことだった。そこで今回は、もふくちゃんの話に焦点を絞り、その話のほんの一部をお伝えしたい。

ディアステージという舞台

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以前、リアルサウンドのインタビューにも登場してくれた「もふくちゃん」こと福嶋麻衣子氏。

 今回のイベントの司会を務めたのは、面白法人KAYACの綿引啓太氏。同氏はアイドルをキャスティングした広告企画のプランナーとして活躍している。また、登壇者が当日着ていたTシャツは、博報堂の社内ベンチャーでアイドルを海外に輸出する事業『Tokyo Girls Update』を運営している鶴見至善氏が企画に携わったもの。BEAMS×サンリオ×Tokyo Girls UpdateのコラボTシャツで、アイドル振り付け師の竹中夏海氏が「アイドルのレッスン着」としてデザインしたという。(参考:Tokyo Girls’ Update × HELLO KITTY “I am IDOL” T-shirt

 登壇者たちの自己紹介の後、さっそくもふくちゃんにいくつか質問が寄せられた。

(※なお、当日は“もふくちゃん古参”として、Yahoo!個人ででんぱ組.incのライブレポ『武道館がアキバになった日、でんぱ組武道館ライブがファンとスタッフとメンバー一体の圧巻のステージでした』を執筆した、いしたにまさき氏も登壇しましたが、会話はオフレコとのことだったので割愛しています)

綿引:そもそもでんぱ組.incのルーツとなるディアステージが開店したのは2007年12月、そのときのコンセプトはどういうお店だったんですか?

もふく:ディアステージはメイド喫茶オタクのクラスタの人たちと、歌手志望の人たちで立ち上げたお店でした。もともとはレゲエのクラブで、当時は内装がウッディだった(笑)。ステージもなくて地べたにガムテープを貼って「ここからステージです」みたいな感じで。私自身はもともとアイドルが好きで、2000年代初頭の頃からアイドルプロデュースには興味がありました。当時は、今で言うニコ生主みたいなこともやっていて、サーバー代を払うのにプログラマーのバイトばかりしていましたね。

綿引:そのときは自分がアイドルになりたいとかいう欲求はなく、一種の表現活動としてやっていたと。

もふく:学校の課題、メディアアートの文脈でやっていましたね。で、ディアステージを始めてみたら、古川未鈴ちゃんが「アイドルになりたい」って言ってきたので「じゃあ作ろう」って言ってできたのがでんぱ組.incです。その後、秋葉原で良さそうなビルを発見して、勝負をかけるならここだなと思い、借金してそのビルを借りました。

鶴見:その時はすでに「武道館に行けるアイドルを育てる」っていう意識はあったんですか?

もふく:武道館とは言ってなかったけど、世界で活躍するアーティストを出したいという意思はあった。それこそジャパン エキスポに出演するような。それは2007年頃からずっと言ってましたし、実は、当時からまったく変わらないコンセプトで走り続けているんですよね。それはある意味すごいのかも。

綿引:ディアステージやでんぱ組.incがCMとかも含めて、カルチャーの真ん中みたいな感じで受け入れられたのは驚きですよね。

もふく:私の感覚的には、我々よりも世間が変わっていった印象ですね。一言で言うと“慣れ”じゃないかと。最初は違和感があるものでも、人はだんだん慣れて好きになっていくんです。で、初期の頃に一番気をつけていたのは、それを「ダサい」と言わせない雰囲気作りだったんですね。この時に気付いたのは、ファッションは大喜利だっていうことで、あるものを「ダサい」と言う人たちと、「ダサい」って言ってる人の方が「ダサい」と言う人たちの勝負(笑)。最初は「この子たち変な格好している」って思っても、その空間でずっと見ていると、人は慣れます(笑)。

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