カサビアン、“ロックが持つべき姿勢”を語る「ビートルズは50年代のロックを創造し直していた」

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 デビュー10周年を迎えるカサビアンが、本日6月18日に5枚目のアルバム『48:13』をリリースした。60年代後半のロックにヒップホップを混ぜ合わせ、そこにエレクトロの要素を足したような彼らの音楽は今作も健在だ。今回リアルサウンドでは、ボーカルのトムと作曲のすべてを手掛けるギターのサージに対する、粉川しの氏によるオフィシャルインタビューの一部を抜粋して紹介。新作のコンセプトや、影響を受けた楽曲、『SONICMANIA 2014』のヘッドライナーに選出されたことなどに関する発言をお届けする。

新作『48:13』について

 

 『48:13』は、アルバムに入っている全楽曲の収録時間をそのままタイトルにし、ジャケットにはピンク色の背景に収録曲の分数が書いてあるだけ、という至ってシンプルなもの。『ヴェロキラプトル!』『ルナティック・アサイラム』は、アートワークも含めて、それぞれコンセプチュアルなアルバムだったが、今作でここまで単純明快な形に変えた理由と、アルバムの中で最初に作った楽曲である「Bumblebee」について、2人はこう語っている。

トム:俺もサージも、アルバム・タイトルの意味とかをいちいち説明するのがもう面倒なんだ。なぜ『ヴェロキラプトル!』や『ルナティック・アサイラム』なのかを説明するのがさ。それで、俺たちが楽なものにした。読むのも難しくないものにね。シンプルに『48:13』、それだけだ。明白なタイトルだ。俺たちには、もうそういったことは必要ない。やりたくないんだよ。説明するのは十分にやってきた。それにピンクだしな(笑)。

サージ:未来的なパンクのエッジがあるヴィジュアルだ。48分13秒の経験を完璧に要約してるタイトルだ。今ではみんな、アルバムから2曲だけを聴くといった聴き方をするけど、ちゃんとこの作品を体験するにはそれだけの時間がかかるってことだ。このアルバムにとって、これ以上ない最高のタイトルになってるんだ。アルバム・タイトルや一単語だけの曲タイトルもそうだけど、いろいろと重ねることはやめて、そこにあるものすべてはちゃんとした理由があって存在している。しかるべくして存在している。アルバム自体、ひとつの旅路のようになっていて、流れもちゃんとした理由でそうなっている。インタールードも理由があって入れられていて、一息つくために収録されている。曲が強烈でヘヴィだから、そういったちょっとした間があることでリラックスできる瞬間を持てるわけだ。そして、次のステージへと移る。アルバムは、ジャーニーとなっている。俺にとっては24時間ある感じだ。アルバムを聴き直してみると、24時間アンフェタミンをやってる感じだ。24時間で何千年分もの経験をしてるような感じだ。

「Bumblebee」について

サージ:この曲のオルガン・サウンドに関しては、William Onyeaborっていうナイジェリア出身の男性がいて、信じられないくらい素晴らしいんだけど、俺は彼の曲を知って、彼はオルガンを使って、そこには シンセも入ってるんだけど、彼のオルガン・サウンドはとんでもなく素晴らしくて、それがアイデアの基礎となっている。トムには古いVoxオルガンがあって、何年間も持ってたのに俺たちはそれまで一度も使ったことがなかった。

トム:1961年製か何かだったよな。もう買えないんだぜ。

サージ:ずっと俺たちのスタジオに放置されていて、William Onyeaborの音楽が“凄いな”ってことになって、この曲、こういった60年代サウンドをベースに作ってみようってことになった。それを現代風にして、この曲にはヒップ・ホップのヴァイブがある。でも、純粋なモッシュピット・ソングだ。パリのギグで初めて演奏してみたんだけど、観客の激しい反応にびっくりしたよ。聴いたことのない曲にあんなに反応してくれるなんてさ、最高の出だしだ。

トム:妙なのはさ、まるで10年間演奏してきたような感覚がするんだ。不自然な感じでもなければ変な感じもしない。それこそ変だよな。初めて演奏したのにさ。妙だよ。これまであった曲みたいなんだ。変だな。

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