横山健が語る、2014年に表現活動を行う意味「俺は色んなことを考えるための入り口になりたい」

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昨年秋に自身初のドキュメンタリーを公開した横山健。

 インディーズレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」の代表であり、Hi-STANDARDやBBQ CHICKENS、KEN BANDといったバンドでも活躍する横山健にとって、初となるドキュメンタリーフィルム『横山健―疾風勁草編―』が9月24日にDVDで発売される。同作は、昨年秋に全国60の劇場で上映され、期間限定にも関わらず3万人の動員を記録、インディーズの音楽映画としては異例のヒット作となった。自身の音楽活動だけではなく、震災後のリアルな心境や考え方にまで迫った本作を、横山自身はどのように捉えているのか。そして現在、彼が抱いている問題意識とはいかなるものなのか。公開から約1年が経過しようとしている今、改めてその胸の内を明かしてもらった。聞き手は、PIZZA OF DEATH RECORDS関連の記事を多数手掛ける石井恵梨子氏。(編集部)

「今40半ばで、自分の考えを世に知ってもらうことが大事に思えてきた」

一一『横山健〜疾風勁草編〜』をご覧になって、何を感じましたか。

横山:まずね、映画でもDVDでもいいけど、自分のことを人に撮ってもらって、それが一本の映像作品になるってちょっと凄いことでしょ? だから最初は恥ずかしくて、嬉しくて、あんまし内容がどうっていうのは考えられなかった(笑)。でも3〜4日前に改めて見直して、やっと……あぁ、なかなか濃いぃ映画だな、と思ったかな。

一一いち個人の生き方や考え方がリアルに伝わる内容ですからね。対になるものとして、書籍「随感随筆編」も今年5月に出ています。

横山:うん。もともと映画とはまったく別の話から始まったけど、でも、自分の中ではすごく繋がってる。音楽があって、その音楽をやる人がどういう人間なのか、すごく立体的に見せてくれる可能性が文章や映像にはあって。はっきり言って、そのへんの若いミュージシャンに文章書かせてもそんなに意味はないと思う。でもやっぱり、一応は20年近く最前線でやってきた人間で、今40半ばで、自分はこういうつもりでやってますよ、っていうのを世の中の人に知ってもらうことが大事に思えてきたのかな。

一一音楽家は音楽だけやっていればいい、では終わらない。映像でも文章でも使えるものを使って、どんどん発信していくのが今の健さんですよね。

横山:そこは俺も自覚してる。というのも「音楽だけやってりゃいいの」って思ってた時期は確かにあって。たとえば20代でハイ・スタンダードやってた時は、バンドの存在そのものが刺激的だったし「別に俺たち取材なんか受けなくたって、アルバムとライヴだけで世の中に訴えかけられるぜ」っていう思いがあった。でも横山健ひとりで動き出すと、届き方が全然足りない(笑)。だからハイ・スタンダードっていうのは、ほんとに時代の欲求とも合わさった奇跡のバランスのバンドだった。そういうところに身を置かない限りは、話すこと、書くこと、他の作業も全部使ってもっと伝えていく必要があるなって。それは経験を重ねていくとさらに実感しちゃうかな。

一一なるほど。あと今回のDVD化に際して、久しぶりの新曲がプラスされていますね。

横山:うん。やっぱり映画が完成した最終地点からどんどん時間は経っていくでしょ。そしたらアップデートした自分、DVD化する直前までの自分も現在も入れたくなる。だったら新曲を入れればいいんだって思いついて。あとは直前のインタビューね。実は特典映像で7月の段階のインタビューを撮ってもらっていて。そういうものを入れることで、映画のあとの自分っていうものもパッケージの中に入れ込めたので。

一一新曲「Stop The World」は、かなり意外なアプローチでした。

横山:でしょう? 自分でも思う。この曲自体は去年からあったの。今Ken Bandはライヴしながら曲作って、次のアルバムに向かってるんだけど、新しい曲ができていくにつれて、他とのトーンが違いすぎるなって扱いに困り始めてた曲。たぶんアルバムの一曲としては異質になっちゃうけど、でも、一曲だけ抜き出してこういうカタチで聴かせたら絶対映えると思ったから。

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