ONE OK ROCKはどう世界を熱狂させたか ドキュメンタリー『FOOL COOL ROCK!』を観る

20140716-oor.jpg

 

 日本のロックが正面突破で海外に挑んでいるーー。ONE OK ROCKにとって初となるドキュメンタリー映画『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』は、そんな彼らのスタンスと音楽に昂奮を覚える映像作品だ。

OOR4th_.jpg

 

 本作は、2013年10月23日より、フランスのパリから始まったONE OK ROCKのワールドツアー『ONE OK ROCK 2013 “Who are you ??Who are you ??”TOUR』に密着し、圧巻のライブパフォーマンスとオーディエンスの熱狂ぶり、そしてその舞台裏の模様を克明に捉えたドキュメンタリー。日本のミュージックビデオの歴史を作ってきたひとりである映像作家の中野裕之が監督を務めている。フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、香港、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、台湾。アジア、そして同バンドにとって初のヨーロッパを、巨大なバスに乗って廻りながら、各国のオーディエンスを熱くさせる様は、音楽映画としてはもちろん、ロードムービーとしても見応えのある仕上がりだ。

OOR3th_.jpg

 

 冒頭、「Ending Story??」のライブシーンから本作は幕を開ける。タフでストレートなラウドサウンドに、パリのオーディエンスは大盛り上がりだ。ファンは女性の方が多いだろうか、メンバーに熱い眼差しを注いでいる。情熱と色気が迸るTakaのボーカル、クールで鋭いToruのギター、骨太で力強いRyotaのベース、そして海外のオーディエンスをも唸らせるTomoyaの引き締まったドラム−−気迫溢れるライブからは、ONE OK ROCKが真っ向からロックで勝負を挑んでいることが伝わってくる。そのステージングに、海外の伝説的バンドたち、たとえばエアロスミスやレッド・ホット・チリ・ペッパーズの系譜を感じるのは筆者だけではないだろう。

OOR1th_.jpg

 

 いっぽうで舞台の裏側、各国の街を闊歩する彼らは、純粋な少年のようでさえある。ふざけあいながら記念撮影を楽しむ姿は、修学旅行を楽しむ学生さながらだ。メンバーが笑顔でじゃれ合う姿は、ファンにとっても微笑ましいひとこまだろう。移動中のバスの車内や、初めて見るヨーロッパのファンの姿に喜ぶ様子、現地語でのMCを練習する姿など、気取りない彼らの素顔が親密さを感じさせるカメラワークで切り取られてゆく。4人で軽口を叩き合い、罰ゲームに大笑いする姿からも、メンバーの深い関係性が見て取れ、彼らが息の合ったバンドであることが伝わってくる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる