Czecho No Republicが手にしたシンセサウンドの新境地とは? カラフルなサウンドスケープの原点を分析

話題のアニメ主題歌は、チェコ流シンセサウンドの最初の到達点

 アニメ『ドラゴンボール改』のエンディングテーマとして話題のCzecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)のメジャーファーストシングル『Oh Yeah!!!!!!!』。「!」を7つ並べてドラゴンボールにリスペクト捧げたこの楽曲の特徴は、うわもの担当のタカハシマイと、ベース担当の八木類による、2台のシンセサウンドにある。

 Czecho No Republicというバンドは、The StrokesやVampire Weekendといった海外のインディバンドを影響源としながらも、それをあくまで日本語のポップソングに落とし込んできたわけだが、それと同時に、欧米の大所帯バンドが作り出すカラフルなサウンドスケープにも憧れを抱いているバンドだった。2013年にタカハシと砂川一黄が正式メンバーとして加入すると、その憧れが徐々に具現化され始め、各メンバーの個性を生かした「高性能の音楽集団」へと成長。曲によってはエレクトロニクスの度合いを強め、メジャーファーストアルバム『NEVERLAND』には「トリッパー」、セカンドアルバム『MANTLE』には「Clap Your Hands」といったシンセ主体の曲も収録されていたが、その方向性の最初の到達点が「Oh Yeah!!!!!!!」なのだと言えよう。

 パーソナリティーを務める『オールナイトニッポン』つながりで親交を深めたオードリーの春日俊彰がゲスト出演していることも見どころのミュージックビデオを見てもらえればお分かりの通り、「Oh Yeah!!!!!!!」では普段ベースボーカルの武井優心がギターボーカルを担当し、八木がシンセベースを担当している。『MANTLE』リリース後のインストアイベントで、普段のライブとは異なるミニマムなセットでライブをした際、八木がシンセベースを弾く編成に手ごたえを感じ、今年後半はシンセベースの曲をかなり作ったのだそうだ。

 実際「Oh Yeah!!!!!!!」は、八木の愛機であるJUNO-Diによるディスコティックなオクターブのシンセベースが楽曲に躍動感を与えていて、そこにmicroKORGを用いたタカハシのポップな単音フレーズ、さらには厚みのあるコーラスや、フランジャーによるウォールオブサウンドも加わって、楽曲の圧倒的な高揚感を生み出している。また、カップリングの「Come On」でもベースラインと間違えそうな低音のシンセを抜き差しすることで、曲に立体感が生まれているし、『オールナイトニッポン』のジングルとして使われている「Yeah Oh!!!!!!!」はおそらく完全な打ち込みで、ギターが一切入っておらず、ベースはやはりシンセベース。活動の初期からシンセ自体は使っていたものの、ここに来てその使い方のレベルがグッとアップしたことは間違いない。

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