寺嶋由芙が明かす、“まじめなアイドル”の葛藤と覚悟 「CDを積ませるだけでは続けていけない」

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 2013年にBiSを脱退し、一時はシーンから姿を消していたものの、2014年にインディーズでシングル『#ゆーふらいと』をリリースして復活した寺嶋由芙。その復活劇は、ナンバーガールやBase Ball Bear、氣志團などを世に送り出してきたディレクター・加茂啓太郎に見いだされ、さらに寺嶋由芙の過去を踏まえた歌詞をでんぱ組.incの夢眠ねむが書き下ろすというドラマティックなカムバックだった。昨年末にリリースされたサード・シングル『猫になりたい!』は、オリコン週間シングルランキングで16位を獲得している。

 その寺嶋由芙が、2015年5月20日に『ふへへへへへへへ大作戦』でメジャー・デビューを果たす。作詞は、かねてから親交のあったシンガーソングライターの大森靖子。彼女ならではのドキッとするようなフレーズがちりばめられた歌詞だ。また、rionosが作編曲を担当したサウンドは、大瀧詠一のナイアガラ・サウンドを髣髴とさせ、メロディーは80年代の松田聖子を連想させる。

 「古き良き時代から来ました。まじめなアイドル、まじめにアイドル」をキャッチコピーとする寺嶋由芙がメジャー・デビュー・シングルで届けたのは、「王道」と意外性の合わせ技だった。

 2013年に一度は何の後ろ盾もない状態になったものの、再びメジャー・シーンに戻ってきた寺嶋由芙。彼女に現在の心境を聞くと、さまざまな葛藤も浮きあがってきた。

 また、作詞を担当した大森靖子からのコメントも届けられたので、ぜひあわせて読んでほしい。(宗像明将)

「知っている人の前だけでぬくぬくやっていても仕方がない」

――BiS時代を含めると2度目のメジャー・デビューですが、ソロとしては初めてのメジャー・デビューですね。今、気負いはありませんか?

寺嶋由芙(以下:寺嶋):いろいろ心配しています(笑)。何もかもが心配ですね。

――ふだんファンの前で弱音を吐かない寺嶋さんが、今回のメジャー・デビューを前にして、ブログに「ちょっとしんどいなぁと思ってしまうこともあります」と書いていて驚きました。どんなことがしんどいですか?

寺嶋:インディーズのときと環境がいろいろ変わって、関わってくれる人も増えて、今までの流れを知っている人がほぼいない中で、「応援してくれるヲタさんにどう対応していくか」とか「みんなが何を求めているのか」とかを一旦共有し直さないといけないところが大変だなと思います。メジャー・デビューとなったらどういうものが期待されるのかを、私はTwitter廃人なので全部見てますけど(笑)、それをすぐに共有できるわけではないので大変です。

――しんどいのはまだ続いてますか?

寺嶋:もう今は無事にリリースを迎えたいですね。ちょっとでも露出や新規を増やしたくて焦っていたけれど、もうそこは一度置いておいて、ヲタさんに変なプレッシャーをかけずに楽しくリリースを迎えたいなと思います。

――そういう焦りはBiS時代にはなかったものですか?

寺嶋:その時代は運営的なものに関わりようがなかったし、何が起きているのかもわからないままだったので違いますね。ソロになってから、何が起きているのかが見える状態で進んでいたのは安心材料でした。だけど関わってくれる人が増えるとそうではないので、心配しているところはあります(笑)。

――それは、寺嶋さんが最悪のパターンばかり想像してしまう性格だからではなく……?

寺嶋:変わりませんね、悪化してますね(笑)。

――メジャー・デビューとなると、世の中では寺嶋さんを知らない人のほうが多いですよね。ゆるキャラ好きで、レギュラー番組(TOKYO MX『みうらじゅん&安齋肇のゆるキャラに負けない!』)まで持っていることも知らない人が多いでしょうし。

寺嶋:そこはありがたいですね、知っている人の前だけでぬくぬくやっていても仕方がないので。アウェイな現場はウェルカムですし、そういうプレッシャーはないです。

――今は、ソロになった当初にお母さんがチェキを撮っていた時代を知らないファンも多いですよね。

寺嶋:それを知ってる人にとっては、娘の嫁入りのように感慨深いと思います。でも、知らない人からしたらこれがスタートだから、そういう感動がない人たちにも届けないといけないんです。歌やステージングだけで評価されるので難しいときもあるけど、私を知っている人たちだけにやっても仕方ないですし。

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