X JAPAN、BUCK-TICK、LUNA SEA……強者バンドが集結した『LUNATIC FEST.』徹底レポ

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 結成25周年を迎えたLUNA SEA主宰による史上最狂のロックフェス『LUNATIC FEST.』が6月27日、28日の2日間、幕張メッセにて行われた。出演はすべてバンドで、女性ボーカルもいなければ、不自然にねじ込まれたような新人もいない、正真正銘“LUNA SEAが繋げる”布陣。そこで見たものは「ジャンルの壁、世代を超えて」などという安易な言葉で片づけることの出来ない、「リスペクトし、リスペクトされ、」というバンド同士の姿だった。9mm Parabellum BulletやROTTENGRAFFTYのステージに乱入したJ(Ba)は、“悪ガキどもの頼れる兄貴”だったが、BUCK-TICKとともに演奏する姿はむしろ“悪ガキ”だった。MUCCの逹瑯が『LUNATIC TOKYO』における、RYUICHIのMCの真似をしたかと思えば、ROTTENGRAFFTYのNOBUYAが92年のエクスタシーサミットを意識して白衣装に身を包むなど、各々のSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)アピールも微笑ましい。バンド同士の関係はわかっていても、こうした光景を目の辺りにするのは新鮮で、LUNA SEAというバンドの影響力の大きさを改めて感じる2日間だった。

先陣を切った、LUNACY

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 両日ともにオープニングアクトを飾ったのは、LUNACY。かつてのバンド名義で登場した彼らは、普段より強調した髪形とメイク、衣装をまとい、「MECAHNICAL DANCE」「FATE」などの初期曲で攻めていく。朝一とは思えない研ぎ澄まされた貫録のステージ。フェスのトップバッターといえば、音響や集客など、環境すべてにおいてリスクは高いわけだが、主宰自らが先陣を切ることにより、イベントの士気がのっけから高まるというわけだ。来場者はもとより、出演バンドに向けた粋な計らいでもあり、感謝を込めた最大のもてなしでもある。

受け継がれる、遺伝子

 畳み掛けるような楽曲展開、スピード感のあるビートとソリッドなギター、翳りのあるメロディー……シーンは違えど、LUNA SEAの遺伝子を感じる2バンドで本編は幕開けた。

9mm Parabellum Bullet(27日 MOON STAGE)

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 “切り込み隊長”らしく「Discommunication」「ハートに火をつけて」などの高速ナンバーで攻める。かみじょうちひろ(Dr)のスティック回しも、振り子のようにベースを回す中村和彦(Ba)も、いつも以上の回転数で攻めてくる。Jが乱入しての「Cold Edge」で、フロアは午前中から最高潮の熱気に包まれた。

凛として時雨(28日 MOON STAGE)

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 シンプルな演出とこじんまりとした配置ながら、カオスティックな絶叫空間を作り上げたのは凛として時雨だ。「傍観」で魅せた真っ赤な照明に包まれながらの絶唱。フィードバックノイズに包まれたラストは壮観だった。

ロックの初期衝動として

 ロックとの出会いはLUNA SEAだったーーそんなバンドは少なくない。続いて登場したのは、彼らを入り口とし、音楽探究の過程で、洋楽や様々なジャンルへと音楽性の幅を広げていったバンドである。

the telephones(27日 FATE STAGE)

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 石毛輝(Vo, Gt)の「おれたちがLUNATIC DISCOだ!」という高らな叫び声とともに「Monkey Discooooooo」で口火を切った。岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)がフロアに降りて引っかき回す。“やり切った感”溢れる爽快なプレイは、観る側にとっても心地よいものだ。音楽性だけを見ると、今回のラインナップの中では異質な存在でもあるバンドだが、しかし決して媚びることなく、いつもながらのブレない姿勢を見せた。

ROTTENGRAFFTY(28日 FATE STAGE)

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 ラウドなサウンドながら、親しみやすいメロディーで盛り上げていくROTTENGRAFFTY。2006年にJが旗上げたレーベル・INFERNO RECORDSからもリリースしているバンドだ。「俺たちの兄貴!」とJを呼び込んで披露したのは「This World」。さらに「響く都」「D.A.N.C.E.」と、多国籍ダンスチューンで踊らせる。様々なバンドのTシャツを着たリスナーがいたるところで体を揺らしていた。

coldrain(27日 FATE STAGE)

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 「今年、ルナフェスが一番ヘドバン出来るフェスだと思います!」と叫んだのは、スカルムーンのフェスTシャツを着たMasato(Vo.)。海外バンドさながらの重厚で安定感のあるサウンドを轟かせる。「日本のバンドとして、世界に広めて、coldrainのフェスができるまでやります! リスペクト、LUNA SEA!」そんな決意表明とともに「The War Is On」で締めくくった。

今のJ-Rockシーンを席巻する、注目のバンド

Fear, and Loathing in Las Vegas(27日 FATE STAGE)

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 2011年にJ主宰の〈SHIBUYA-AX 5DAYS LIVE -Set FIRE Get HIGHER-〉に出演していた彼らが、あの頃より人気も実力も格段に上げて帰ってきた。来年1月には自身初となる日本武道館公演も決定しているLas Vegas。LUNA SEAと同い年の25歳という、So(Clean/Scream)によるオートチューンを駆使したキラキラのボーカルと、Minami(Scream)のシャウトが絡みつき、シンセザイザーと重音が折り重なったアンサンブルが襲い掛かる。アップテンポのトランスサウンドによる音の洪水が、フロアをカオスの渦に巻き込んだ。

[Alexandros](28日 FATE STAGE)

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 「Burger Queen」「Stimulator」と、頭からテンション高めのナンバーで攻める。確かな演奏で緻密に構築されたオルタナティブ・ロックだ。「小学生の頃、家の近所でライブがあり、怖そうなファンのお姉さま方が〜」というLUNA SEAとの印象的な出会いを語った川上洋平(Vo, Gt)。2010年に加入した庄村聡泰(Dr)は真矢の弟子にあたり、2ビート風の8ビートと手数の多さに師匠の血を感じる。疾走感みなぎる東欧フォルクローレ風の「ワタリドリ」で締めくくった。

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