Blur「KKBOX」香港ライブ中継が示した配信サービスの次なる一手 音楽評論家・小野島大が考察

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Blurライブの模様

 イギリスのロックバンド・Blurが7月22日に香港公演「blur Live in Hong Kong 2015」を行い、アジア最大の定額制ストリーミング音楽配信サービス・KKBOXがその様子を、日本を含むアジア6カ国で同時中継した。

 同ライブは、Blurが香港にインスパイアされ、現地で制作した最新アルバム『The Magic Whip』を提げて行われたもので、彼らがアジア圏でライブを生中継をするのは初めてのことだ。ライブ当日まではオリジナルの映像トレーラーが公開され、音楽ファンの注目を集めていた。台風の影響により開始時間が予定の21時(日本時間)から30分ほど遅れるトラブルもあったが、ライブではアルバム収録の新曲はもちろん、「Parklife」や「Song 2」といった名曲の数々も披露され、会場へ足を運んだファン約8000人とユニーク視聴者約15万人がその演奏をリアルタイムで楽しんだ。ライブ写真はリアルタイムで各国のソーシャルメディアに続々と投稿され、その盛り上がりが伺えたほか、ライブ終了直後にはすぐにセットリストがプレイリスト化されてKKBOXに公開されるなど、ストリーミング音楽配信サービスならではの工夫も見られた。

 LINE MUSICやApple Music、AWAといった定額制ストリーミング音楽配信サービスの提供が日本国内でも続々と開始し、その動向に注目が集まる中で行われた今回の試みを、識者はどう捉えているのか。電子書籍『音楽配信はどこへ向かう?』(impress QuickBooks)の著者である音楽評論家の小野島大氏に話を聞いた。

「今回のライブ配信でまず関心したのは、そのクオリティの高さです。音質はストリーミングサービスとしてごく標準的なものだと思いますが、画質はとてもクリアーで、テレビの大画面などに映しても問題なく楽しめるレベルでした。回線も安定していて途切れるということがなく、ストレスなく鑑賞することができたのも好印象です。オーディエンスの楽しそうな表情まで捉えた、臨場感溢れるカメラワークも秀逸で、このままパッケージして商品化できる映像だったと思います。もちろん、Blurの演奏も素晴らしかったです。KKBOXは国際的にサービスを展開しているのが強みのひとつで、今回のように海外アーティストのプレミアムなライブを高品質で生中継できるというのは、ほかのサブスクリプションサービスとの差別化に繋がりそうです。こうしたライブ中継を、たとえば月に1~2回ほど定期的に開催するとなれば、日本でもさらなるユーザーの獲得に繋がるのではないでしょうか」

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