WARHEAD、VIVISICK、九狼吽……海外で活躍する日本のハードコアバンド5選

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VIVISICK『NUKED IDENTITY』

 日本のハードコアパンクバンドは、80年代から独自のスタイルを築き上げ、世界でもかなり注目されてきた。

 1984年、世界中で発売されたオムニバス『P.E.A.C.E./War』に、GISMとTHE EXECUTEの楽曲が収録されたことにより、日本のハードコアパンクのレベルの高さや、その凄みが国境を越えて知れ渡ったと言って良いだろう。

 そして、1988年にROSE ROSEが日本のハードコアパンクバンドとして初の海外進出となるイギリス&ヨーロッパツアーを行い、1989年にはGAUZEがイギリスへ、S.O.Bがヨーロッパツアーを敢行、1990年代に入ると原爆オナニーズがアメリカでのライブを成功させた。日本発パンク・ハードコアバンド、海外進出の幕開けである。

 それから30年近くが経った現在も、海外で活躍する日本発のパンク・ハードコアのバンドは少なくない。今回は、世界でも評価されている日本のパンク・ハードコアを紹介したい。

WARHEAD

 メンバーは、Vo.JUN、Dr.荒木、Gt.江渕、Ba.陽水。1990年にDISCHARGE、CHAOS U.K、DEATH SIDEなどに影響を受け、京都で結成された。何度かのメンバーチェンジを経て、今年で結成25年目を迎えたバンドである。現在まで3枚のシングルと、2枚のアルバムのほかに、スプリットシングルとオムニバスCD、3枚のDVDも発売している。

 親交の深いイギリスのCHAOS U.K、FUKのギタリストGABBAに「HARDEST CORE」と表現されたように、ハードコアをも超えた激しさを持つ、日本を代表するパンクバンドである。圧倒的なステージでの迫力は、問答無用で観る者すべてを衝撃と驚愕の渦に叩き込む。

 常にMAXを超えた激情が、声とパフォーマンスとなり放たれるJUNのボーカル。荒木のドラムは、3rd EP「DRIVE IT IN YOUR HEAD」に収録されている「月下」のイントロに象徴されるように、まさに「怪物」そのものだ。その凄まじさはレコード、ライブともに必聴である。陽水のダウンピッキングは、人間の持つ感情を激しく揺さぶり、江渕の放出する轟音は、ほかには何も考えられなくなるほど危険なノイズとなり、すべてを破壊する。

 ステージではもちろん、日常生活においても、その生き様と人間性が現れているWARHEADは、「これが日本のハードコアパンクだ!」と誰もが認めざるを得ない存在だろう。

2015年 WARHEAD in ニューヨーク

Official Facebook

「海外ツアー経歴」

2005年 イギリスツアー
2006年 WARHEAD/FORWARD/TRAGEDY アメリカツアー
2012年 ヨーロッパツアー(チェコ、スロバキア、スロベニア、オーストリア、イギリス)
2015年 アメリカ・ニューヨーク

2015年8月には鉄アレイと共に四国から東京まで鉄弾頭ツアーを行う。同時に8/7 BREAK THE RECORDSより鉄弾頭CDをリリース。

VIVISICK

 メンバーはVo.SUNAO、Gt/Vo.KAZUKI、Gt/Vo.HARU、Ba/Vo.TAKAHASHI、Dr/Ch.HITOSHI。1996年結成。現在までアルバム1枚、スプリットアルバム1枚、単独EP2枚、スプリットEP3枚、DVD1枚、その他多数のコンピレーション作品に参加し、2015年8月に2ndアルバムとなる『NUKED IDENTITY』を、完全自主制作で日本、アメリカ、チェコ、マレーシア、韓国で発売する。

 SUNAOのセンス溢れる歌詞とコーラスワークが特徴的で、サウンドはポップでキャッチーな部分もありながら、ライブでは客席でサークルモッシュが起きるほどの激しいパフォーマンスを披露している。パンクスなら一度は体験するべきだろう。

 海外ツアー経験は、日本のハードコアパンクの中で一番と言っていいほど豊富で、恐らく日本で最初にブラジルツアーを行ったハードコアパンクバンドだと思われる。2007年にはブラジルツアーのツアーメイトであるMUKEKA DI RATOを日本に招聘し、FORWARDとの合同企画で世界中のパンクバンドを集めた、日本ツアーを伴ったイベント「GOLDEN WORLD PUNK WEEK」を敢行。2011年の5月と10月に行われた上野公園野外音楽堂での自主企画「PUNKS WERE MADE BEFORE SOUNDS」では、両日ともに1000人以上の動員を記録し、その売り上げを東日本大震災の支援金に充てるなど、活動は多岐に渡っている。

 特筆すべきなのがライブパフォーマンスで、ライブハウスの中が混沌とする様は、パンクのライブの醍醐味をこれでもかというほど味わうことができるだろう。

VIVISICK in ボルネオ島(マレーシア)・コタキナバル
PV「反抗とは創造なり-REBEL IS CREATION-」

Official website
Official facebook

「海外ツアー経歴」

2004年 ブラジルツアー
2004年 アメリカ中西部ツアー
2005年 東南アジアツアー/ インドネシア、シンガポール、マレーシア、ボルネオ島(マレーシア領)、フィリピン、タイ
2008年 ヨーロッパツアー/ チェコ、オーストリア
2009年 ブラジルツアー
2009年 インドネシアツアー
2013年 シンガポール、ボルネオ島(マレーシア領)ツアー
2014年 韓国ツアー
2016年4月 アメリカ西海岸、メキシコツアー(ティファナのみ)を予定。

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