韓国パンクシーンの特徴と現状とは? 現役パンクロッカーが現地レポート

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KOREAライブフライヤー

 2015年9月5日から6日にかけて、韓国ソウルにてライブをおこなってきた。筆者は、アメリカ、オーストラリアでのツアーの他に、日本でのツアーも数多くおこなってきているので、日本を含めた他の国々と比べ、韓国のパンクシーンの状況やライブの様子には、どのような特徴があるのかをレポートをしていきたいと思う。

 以前、日本で韓国スキンズのSAMCHUNGと2回ほど対バンをしたことがあり、そのときに初めて韓国アンダーグラウンドパンクシーンに触れた。SAMCHUNGはスキンズバンドだったが、日本で多くのオーディエンスの目に触れた最初の韓国ハードコアパンクとなると、2014年におこなわれたパンクフェスティバル「KAPPUNK」に来日したSCUMRAIDではないだろうか。(参考:新宿歌舞伎町のど真ん中で開催 パンクフェスティバル「KAPPUNK」の可能性とは?

 韓国アンダーグラウンドシーンでの最初のリアルハードコアパンクバンドと言えばBANRANだろう。今回のツアーのオーガナイズをしてくれたドラムのHOONEEや、筆者のバンドがアメリカツアーをしたときには差し入れなどまでしてくれた、現在アメリカ在住のボーカルYJが在籍している。ギターは現在兵役のために活動していないが、今回のソウルでのライブにはきてくれていた。このBANRANが近年の韓国ハードコアパンクシーンを作ったのではないかと思う。

BANRAN(반란) - fantASIA / Dropdead (BANRAN LAST SHOW)

 

 韓国ハードコアシーンでは、国の特性として、若い男性には兵役があるために、長い間バンドを続けることができないことが多いようだ。現在、韓国ハードコアパンクシーンの牽引をしているSCUMRAIDも「KAPPUNK」の際は、ギター/ボーカルのRYUが兵役の休暇中だったので、日本への招待状が無ければ来日できないなど、様々な苦労があった。(今回、RYUは兵役を終えていたため、様々な面でサポートをしてくれたが)このように、日本とは異なる事情が韓国にはあるが、それでもパンクスとして音楽やメッセージを発信する姿勢には、見習うべきところが多い。

 SCUMRAIDというバンドは、ドラムがJUYONGという女の子ながら、凄まじいD-BEATのドラムを叩くハードコアバンドだ。JUYONGは日本語も話せるため、たまに来日し、日本のパンクスとも交流をはかっている。若くして韓国ハードコアパンクシーンを牽引する注目のバンドだ。

Scumraid. 2014.10.19. 전환도시 : 해킹더시티 페스티벌 Transition City : Hacking the City Festival

 

 お隣の国である韓国は親しみやすい部分が多く、他の外国と比べて、日本人が行きやすい国だろう。飛行機で2時間程度で到着できる上に、空港や駅にも日本語で書かれた案内があり、欧米諸国と違い、食べ物も日本人の味覚に合っていて非常に美味しい。物価も安く、日本なら五千円以上かかるタクシーの距離でも千円程度で移動できるほか、韓国焼酎の小瓶が1本150円ほどで飲める。観光客用の店ではない店なら、千円以下で本場の韓国料理も堪能できる。

 面白かったのが、コンビニの前にはテーブルと椅子があり、店内で買った酒や肴で、24時間酒盛りができるところだ。ソウル市内のコンビニではそのようにして街の人達がコンビニ前で宴会をしており、非常に楽しそうであった。

 また、韓国では日本語の普及率が非常に高く、実際、パンクスにも日本語を話す人間が多い。感覚的には、日本の英語普及率と同等ぐらいの日本語普及率なのではないかと感じた。英語を話す人間になるとかなり多く、コミュニケーションは日本語、英語でおこなっていた。

 しかし、観光客向けの店ではないところや、タクシーなどでは韓国語が話せないと困ることも多いかもしれない。筆者達は、地元のオーガナイザーや世話をしてくれる人間がいたために問題は無かったが、地元民が行く店などでは韓国語のメニューしか無いために何が書いてあるのかがさっぱりわからなかった。

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