globe20周年BEST盤を100倍楽しむ方法  オルタナティヴなサウンド、閉塞感を描いた歌詞の魅力に迫る

 globeの音楽的魅力とは何だろうか。ポップ 〜 ドラムンベース 〜 オルタナ 〜 プログレ 〜 ヒップホップ 〜 ビッグビート 〜 トランスを行き交う、ロックとダンスミュージックを掛け合わせた世界観。リリースごとにジャンルを横断し、世界各地でレコーディングを試み、ヴォーカリスト + ラッパー + プロデューサーという3人組ユニット・スタイルを発明したオリジナルな活動スタイル。クラブ・カルチャーを経由した実験的なサウンド・アプローチでありながら、心に残るメロディーの明解さ。結果、1stアルバム『globe』は400万枚をこえるビッグセールスを突破。200万枚を記録した大ヒット・シングル「DEPARTURES」を始め「Can't Stop Fallin' in Love」、「FACE」など多数のメガヒット・シングルをシーンに刻んできた。

 しかし、そろそろglobeをリリース枚数や売り上げだけで語るのは終わりにしたい。音や曲、歌、歌詞そのものの魅力について語ってみたいと思う。そんな検証をするのにぴったりな作品が2015年12月16日にリリースされた。globe 20周年を記念するBESTアルバム『#globe20th -SPECIAL COVER BEST』【COVER + BEST盤】だ。HYDE、木村カエラなど豪華ゲストが参加したCOVER盤については音楽ジャーナリスト、柴那典氏が『globeカバーベストで見えた色褪せないポップ性——HYDE、浜崎あゆみ、木村カエラ、浜崎らが歌う名曲から読み解く』として書かれているので、名曲15曲をセレクトしたオリジナルBEST盤について解説したい。

 なお、『#globe20th -SPECIAL COVER BEST』は、主にglobeのシングル曲からのベスト選曲されている。15曲中7曲が、“20th edit”と表記されており、素材、構成、雰囲気はそのままに、若干のタイム・エディットが施されている。そして全曲に渡ってリズムや低音を強調したリマスタリングによって、いまの時代に馴染むマイナー・アップデートがなされていることに注目して欲しい。

 globeの楽曲は、実は中期以降から後期にかけても名曲がたくさんあるのだが、本作は1995年から1998年までの初期曲を中心にセレクトされている。本作に収録されたナンバーを時系列で紹介してみよう。

 デビュー曲で奏でられる弾ける高揚感が魅力的なポップソング「Feel Like dance」、ジャングルとソウルミュージックと歌謡ポップの絶妙なる融合「Joy to the love」、冬の季節に聴きたくなる国民的ヒット曲「DEPARTURES」、世界情勢をテーマにいまの時代とシンクロする「FREEDOM」、大人めいたピアノバラードが雰囲気を醸し出す「Precious Memories」、歌詞における“いつもは指輪をはずしていたのに”の歌い出しフレーズが印象的な「Can't Stop Fallin' in Love」、ロック的表現へ向かった人気曲「FACE」、プログレ的展開が強烈な印象を与えるドラマチックな「FACES PLACES」、コアなglobeファンに愛されているオルタナなナンバー「Anytime smokin' cigarette」、ギリギリの精神状態を描いた大人のラブソング「Wanderin' Destiny」、globeにおいてもっともアップテンポで扇情的な「Love again」、ザ・プロディジーからの影響を感じられるデジタル・ロック「wanna Be A Dreammaker」、スペーシーなポップチューン「SWEET PAIN」、艶やかなロッカバラード「Sa Yo Na Ra」、そして2002年にリリースされファンの間で愛されているトランシーな美しき代表曲「Many Classic Moments」など、誰もの日常生活に寄り添い、感情や記憶に色を付けてくれるポップミュージックの素晴らしさ。プロデューサーの小室哲哉はglobe結成時にあえて、ジャケット写真やミュージックビデオにメンバーを登場させず、リスナーが楽曲を“自分ゴト化”できるように余白を与えることにこだわったという。

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