いきものがかりと大滝詠一の新アルバムから、JPOPと歌謡曲の“洋楽アプローチ”を再考

参考:2016年3月14日~201603月20日(2016年3月28日付)(ORICON STYLE)

 いきものがかりの10周年記念ベスト『超いきものばかり〜てんねん記念メンバーズBESTセレクション〜』が、初登場1位で136,808枚。2位とは11万枚の差をつけており、もう別格の強さです。

 みんなに愛されるいいメロディ。クセのない声で届く共感と共有の歌詞。心地よくてどこか懐かしいサウンド。大型タイアップや合唱曲まで引き受けつつ、壮大になりすぎず、いつも身近に感じられるキャラクターを保っている国民的存在。売り上げを見れば覇者はEXILEや嵐かもしれないけど、「とにかく日本国民に届いた、ともに歌われた曲」という意味では、いきものがかりこそが現在J-POPの頂点にいるのだと感じます。

 はぁ? と思った人は、きっとコアな音楽ファンを自認するタイプでしょう。老若男女に届くポップミュージックである反面、音楽にこだわりを持つリスナーからはスルーされる。そんな彼らのスタンスは以前から指摘されていたし、今もさほど変わっていないようで。当人たちも堂々としたもので、「ヒットしている邦楽を当たり前に聴いてきた」「ちょっと洋楽に走ろうとして、ダメだこりゃって帰って来た」「尖ったバンドを探してる若い子とか洋楽好きの人とかは、こっち向いてくれないと思う」などと語っています(2008年/『ナタリー』のインタビューより)。読んだ時には、なるほどこの感覚こそが今のJ-POPなのかと眼から鱗が落ちたものです。

 J-POPという言葉が生まれた時、それは歌謡曲のようにベタついたものではない、もっと新しくスタイリッシュなものだ、といった認識(または幻想)があったように思います。実際、初期J-POPの代表的存在である小室哲哉は最新鋭の洋楽的ビートを日本人的好みの世界に持ち込んだひとりでしょう。確かに革新的。でも、昔からそれをやっていた人も歌謡曲の世界にいたわけです。

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