NMB48が1位、Aqoursが3位ーービルボード複合チャートに見るCDセールスの重要性

 ゴールデンウィークも重なった今週のチャートですが、フタを開けてみるとNMB48『甘噛み姫』がチャートイン3回目にして前週89位から一気にランクアップしての1位。なぜこのような結果になったかと言いますと、CD等の販売枚数が1位、CDがPCに取り込まれた回数が3位、そしてTwitterでアーティスト名と曲名が共につぶやかれた回数が1位という結果を受けてのことのようです。

 しかし面白いことにこの曲、ラジオでのオンエア回数は134位でして、さらにYouTubeでのPV再生回数はゼロ、つまりまだアップロードされていないのですかね。にもかかわらずの1位。2位の西野カナ『あなたの好きなところ』なんかはオンエア数、販売数、CD取り込み数、Twitter、YouTubeのいずれでも安定したスコアを叩き出しているにもかかわらず、NMBさんがCD売りまくってしまえばぶっちぎりで1位を取れてしまうのです。ビルボードジャパンのチャートはこれらの指標を総合して順位が決まる複合チャートですから、CD等の販売数を唯一絶対の基準としているオリコンチャートなんかに比べて人気の指標として信頼性があることだなあとは不肖ワタクシ自身思います。しかしこの結果を見ると、CD等の販売数こそが、ここぞというところで力を持つというのは揺るぎない事実のようであります。

 さらに面白いのは、3位のAqours「恋になりたいAQUARIUM」もNMBさんと同様で、ラジオでのオンエア順位とPVの再生回数が集計結果に含まれていません。にもかかわらずの3位。別に西野カナさんだけがスゴいと言いたいわけではないですが、実際今回の西野カナさんの曲はスゴい曲であります。タイトル通り「あなたの好きなところ」を延々と50個以上も挙げていく歌詞になっておりまして、聴いているうちにその愛情の途方もない重さを感じて少し震えが走る、というところであります。

 この路線は言うまでもなく、前作シングル『トリセツ』の歌詞で自分自身をカノジョとして取扱う上で注意すべき点を蕩々と読み上げてみせたのに続く、なんかちょっと怖い女性の情念ソングの第二弾と言うべきでしょう。こうした楽曲が人気を博するというのは昭和を感じるというか、日本も不況が続いて懐かしいモードに突入しているのだろうかというか、いやこうなったら西野さんはこの路線を極めていってはどうか、というところであります。日本では古来から竹内まりや『けんかをやめて』、中島みゆき『うらみ・ます』など、女性の情念を色濃く感じさせる楽曲が多々ありました。西野さんももう国民的なベテラン歌手と言っていいキャリアになってきましたから、さらに日本歌謡史にガッチリと傷跡を残すためにですね、カレシが「うわあ待ってちょっと待って」とか言いたくなる、背筋がゾクゾクするような情念歌の時代を復古させていただきたい。目指すは、山崎ハコ『呪い』ですよ。ダメですかね。

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