中田ヤスタカ、tofubeatsらが出演、クラブとポップシーンを横断する『YYY Vol.1』レポート

『YYY Vol.1』レポート

 まるで目の前で様々なカルチャーがマッシュアップされていく様子を見せられているかのような、刺激的な一夜だった。中田ヤスタカ、kz(livetune, livetune+)、tofubeats、banvoxという現在の音楽シーン屈指の4人のプロデューサー/トラックメイカーがレジデントを務め、毎回出演順を変えることでその日だけの魅力を追求するクラブ・パーティー『YYY』。7月17日に新木場スタジオコーストで開催された『Vol.1』は、1月に渋谷SOUND MUSEUM VISIONで行なわれた『YYY Vol.0.5』に続く、イベントの本格的なスタート回となる。

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 この日はtofubeats、kz(livetune, livetune+)、banvox、中田ヤスタカというタイムテーブル。1番手として登場したtofubeatsは近年ハウス/テクノを中心としたDJセットを披露することも多いものの、ここでは自身もオートチューンをかけたボーカルを披露するお馴染みのライブセットだ。大歓声の中登場し、「みなさん盛り上がる準備はいいですか~!!」とMCすると、早速「eyezonu」のフレーズを口ずさみながら「Stakeholder」とKOHHによるtofubeatsネタの楽曲「Drum Machine (Freestyle)」(『YELLOW T△PE 3』に収録)をマッシュアップ。以降も「POSITIVE feat. Dream Ami」を筆頭に自身の楽曲をインターネット世代らしい奇抜な編集感覚で繋いでいく。途中「m3nt1on2u feat.オノマトペ大臣」でトラブルにより音が止まるも、それを逆に利用して観客はさらにヒートアップ。中盤以降はややスロウな展開に移行し、最後は「Don't Stop The Music」や「朝がくるまで終わる事のないダンスを」「ディスコの神様」「水星 feat. オノマトペ大臣」といった人気曲でポップさと先鋭性とを兼ね備えたセットを披露した。

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 続くkzは『Tokyo 7th シスターズ』の楽曲から、自身が手掛けたセブンスシスターズの「SEVENTH HAVEN」でスタート。アウル・シティー&カーリー・レイ・ジェプセンの「Good Time」や初音ミクの「Satisfaction」と「Packaged」、Shiggy Jr.「サマータイムラブ」のリミックスで4つ打ちを基調に踊りやすくまとめながら、同時に多ジャンルを横断することでまったく単調に感じさせないのが流石kzといった雰囲気だ。中盤はアイマス曲「Radio Happy」からナナシスの「Sparkle Time!!」と「SEVENTH HAVEN」のリプライズ、そしてアイオバーン&カトモリによるアイカツ曲のリミックス「Good morning my dream」に繋げる2.5~2次元アイドルメドレーを披露。最後はやのあんなとのユニットlivetune+の「Jump Up」や初音ミクの「Hand In Hand」ではフロア後方まで一斉にジャンプ! その立ち姿やライブに込めた気持ちの強さで観客をグイグイ自分の世界に引き込むステージングも印象的だった。

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kz

 両者のセットは同じようにクラブ・ミュージックを基調にしながらも、音楽的にはそれぞれ違う方向に振り切れている。けれども会場全体に、その2つを自然に楽しむような雰囲気が流れているのが『YYY』の特徴だろう。tofubeatsが冒頭にかけたKOHHのライン「ジャンルにとらわれて/ゴチャゴチャ言うやつなんかは結局そこまでで/終わり/ラッパーどまり」に象徴されるように、ポップ・リスナーからクラバー、Bボーイ/Bガール、ボカロやアイドル楽曲のリスナーまでが同時に集まったフロアには、特定のボーダーが一切設けられていない。また、デイタイムの開催とあって深夜のクラブには入れない若年層も多く足を運んでいたことは、おそらく企画段階から意識されていたことでもあるはずだ。

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