Silent Siren、横浜アリーナ公演で果たした“ハッピーなリベンジ”

Silent Siren、横アリで果たした“リベンジ”

「私たちがはじめて横浜アリーナに立ったのは、インディーズの頃の『東京ガールズコレクション』のオープニングアクトでした。みんなが入ってくる途中に演るんですけど……」

リーダーのひなんちゅ(Dr.)が口を開いた。客入れの開場中の演奏。周りはすべてモデルや他の出演者目当ての来場者ばかりだったという。

「みんな“誰だろう?“という中で盛り上がるわけでもなく…… めちゃくちゃ悔しくて、“絶対にここでワンマンやってやる“と決めました。それが5年前です」

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 Silent Sirenは“読モ出身”とはいえ、最初から華々しくデビューしたわけでもなく、地道な活動で着実に実力と人気を伸ばしてきた。初ライブの原宿アストロホールから、SHIBUYA-AX、日比谷野音、日本武道館…… そして2016年7月18日、バンド史上最大規模となったツアー『Silent Siren Live Tour 2016 Sのために Sをねらえ! そしてすべてがSになる』ファイナル、横浜アリーナにたどり着いた。

 彼女たちが大切にしてきたもの。それは、音楽のみならず、体を張ったバラエティに至るまであくなき挑戦をし続けるサイサイ流ガールズバンドの矜持と、それを支える制作スタッフ“サイサイチーム”、そして、開場の数時間も前から会場周辺をピンク色に染めていた“サイファミ(※サイサイファミリー)”と呼ばれるファン──。この日見た景色は、そのすべてが結集して創り上げたものだった。

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 魔の手により引き裂かれたSilent Sirenの4人が、もう一度音楽をやりたいと決意し、立ち上がる──。 といったドラマ仕立てのオープニングムービーが終わると、会場後方に真っ赤なチャイナ風衣装を纏った4人が登場した。SEのリズムに合わせて打ち鳴らされる手拍子。来場者に配布されたリストバンド状のシンクロライトが点滅する青い光に包まれ、それぞれのトロッコに乗ったメンバーが、“S”を模した形状のステージへと導かれるように向かっていく。

 ステージ上手からゆかるん(Key.)、すぅ(Vo.&Gt.)、ひなんちゅ(Dr.)、あいにゃん(Ba.)、横一列の独特の配置につくと、会場の空気を確かめるように音が解き放たれた。

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「Silent Sirenライブツアーファイナル、横浜アリーナへようこそーー!」

 すぅがそう叫ぶと、おもむろにギターを刻む。1曲目は「milk boy」だ。次々と変わっていくリズムと拍子、そして転調を繰り返しながら、緩急をつけた一糸乱れぬアンサンブルは、そのまま「八月の夜」へとなだれ込んだ。タイトでどっしりとしたひなんちゅのスネアと、やけに色気のあるグルーヴィーなあいにゃんのベースが心地よい。「横アリのみんな元気ですかぁーー?!」ステージ前方に躍り出たハッピー番長・ゆかるんの陽気な煽りではじまった「BANG!BANG!BANG!」ではメンバー紹介&各ソロを挟み、すぅの高らかな歌い出しで始まった「ビーサン」へ。怒濤のサマーチューンの応酬に序盤から会場の熱はぐんぐん上がっていく。

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 「横浜といったら中華街。中華街と言ったら、あの曲!」そう言って始まったのは「チャイナキッス」。ステージの至るところから火柱が吹き上がる。ソリッドな演奏で鬼気迫るような「Love install」、優しく包み込むような「hikari」。ステージ上のビジョンに映し出されていく詞が、前者ではハッキングされたように、後者では絵本を開いたように、4人の紡ぎ出す音にさらなる色をつける。
 

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