桑田佳祐の新曲「君への手紙」いち早く聴いた! 小貫信昭が「ヨシ子さん」からの流れを読む

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 桑田佳祐の新曲、「君への手紙」をいち早く聴くことができた。アコ−スティック・ギタ−の静かなストロ−クに始まり、淡々とした中にも確かなメッセ−ジが響き、やがてサビではエモ−ショナルに昇華して、心の奥底にまで届いてくる、そんなバラード作品である。アレンジの広がりも取って付けたところが一切無く、最後まで、桑田の体温が端々にまで感じられる仕上がりとなっている。

 最前線のhip-hopを意識しつつトライバルな要素を加え、歌の主人公の昭和ノスタルジ−をぶちまけつつも“ヨシ子さん”への純愛を描いた「ヨシ子さん」とは、ガラリと違う作風である。“これが同じア−ティストの作品なのか!?”というくらい違う。「勝手にシンドバッド」でサザンの一員として世に出た桑田が、そのあと(続編的な「気分しだいで責めないで」を挟んだものの)「いとしのエリ−」で勝負に出た時のように違う。さらに「マンピーのG★SPOT」の次が「あなただけを〜Summer Heartbreak〜」、「イエローマン〜星の王子様〜」の次が「TSUNAMI」、桑田佳祐のソロでは「波乗りジョニー」の次が「白い恋人達」であったりと、こうしたシングルの流れを彷彿させるところもある。

 もしここに何らかの法則性を見出すなら、既存の価値観に縛られることない自由な作風(「ヨシ子さん」)のあと、普遍性のある、誰の胸にも覚えのあるような感情を描いた作品(「君への手紙」)が生まれてくるという流れに準じてると言えなくもないだろう。

 ただ今回の場合、外的要因も忘れてはならない。桑田は言う。「この曲は、映画『金メダル男』の主題歌として書き下ろしましたのでね。監督であるウッチャン(内村光良)から手紙でオファーをもらって、“僕はこの映画を観て、こう感じましたよ”と、返事を書くように作りましたので」。

 ここで注目すべきポイントは、手紙を書くように曲を作った、ということだ。ただ、かつての日本のフォ−ク・ソングにみられたような、“手紙の形式で歌詞を整えた”わけではない。むしろこの映画を作った内村光良という男への個人的な励まし(彼からの私信に桑田が私信で応えたのなら、そう言えなくもない)や、さらに映画から触発された想いなどが、この歌を占めることとなったようだ。「でもそれが“手紙”というものだと僕は思ってますからね。時候の挨拶から始めようが、どこに話が逸れようが、自由なものだろうし…」。

 ひとつ気になることがあるなら、そうして生まれた作品が、映画の内容にそぐうものなのかという点である。もちろん世の“主題歌”には、物語に寄り添うものがある一方で、逆に交わらず、それでも成立しているものもある。この点に関して桑田は、まずは「湧き上がるがままに書き連ねること」を重んじていたそうで、彼が常日頃から大切にしていた感情が、素直に音源化される結果にもなった。さらに作り終えた時のことで言うなら、「映画とは程良い距離感で作っていたつもりが、気付けば最後には同じゴールを目指していた」と振り返っている。そのあたり、ぜひ映画館に足を運び、ご自身で確かめてみて欲しいのだが、個人的に思う“同じゴ−ル”とは、人との絆や、他人を思いやる気持ちなのではないかと思った。最後に再び、桑田の言葉を……。

「人はひとりでは生きられない。それが人生じゃないかなぁと思うんです。そりゃ“オレはなんでも出来るんだ”と、若い頃は思うものだけれど、結局は自分のこれまでを振り返っても、周りの大勢の人達に助けられてこそのものだろうし」

 この原稿を書き終わる頃、最新のア−ティスト写真が届いた。まさに「君への手紙」の世界観から発展させたものであり、桑田のサスペンダ−姿からは、大人の男の色気が香る。あの夏の日に、カンカン帽に浴衣姿で「ヨシ子さん」を歌い踊っていた姿はもはやなく、辺りはすっかり秋の気配なのだった。ちなみにこの撮影のときに出前で届けられたカツ丼は、本人曰く、「とびきり美味だった」らしい。

(文=小貫信昭)

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『君への手紙(通常盤)』
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『君への手紙(初回限定盤)』
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『君への手紙(アナログ盤)』
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「君への手紙」デジタルフライヤー

■リリース情報
『君への手紙』
発売:11月23日
【CD初回限定盤】 ¥1,296(税抜)
【CD通常盤】 ¥1,296(税抜)
【アナログ盤】 ¥2,037(税抜) ※同時発売
〈収録内容〉
1. 君への手紙 (映画「金メダル男」主題歌)
カップリング未定
〈CD初回限定盤特典〉
“君への手紙”パッケージ
1) 直筆 桑田佳祐から“君への手紙”
2) オリジナル切手ステッカー
3) “年越しライブお楽しみ特典!”ライブ・ビューイング参加応募券
※ライブ・ビューイング参加には別途チケット代が必要となります

■映画『金メダル男』作品概要
10月22日(土)全国ロードショー
原作・脚本・監督:内村光良 
出演:内村光良 知念侑李(Hey! Say! JUMP) 木村多江/ムロツヨシ 土屋太鳳/平泉成 宮崎美子/笑福亭鶴瓶
配給:ショウゲート 公式サイト:kinmedao.com (C)「金メダル男」製作委員会

■ライブ情報
『桑田佳祐 年越しライブ2016「ヨシ子さんへの手紙 ~悪戯な年の瀬~』 Supported by UCC
【会場】
横浜アリーナ
【日程】
2016年
12月27日(火) 開場17:00 開演18:30
12月28日(水) 開場17:00 開演18:30
12月30日(金) 開場16;30 開演18:00
12月31日(土) 開場20:00 開演21:30
【一般発売日】
12月18日(日)
【問合せ先】 
キョードー横浜 TEL 045-671-9911(日祝を除く 月曜-土曜 10:00~18:00)
【チケット代金】 
全席指定9,000円(税込)

『桑田佳祐 年越しライブ2016「ヨシ子さんへの手紙 ~悪戯な年の瀬~」 』ライブ・ビューイング
【会場】
全国12都市(札幌/仙台/埼玉/東京/千葉/神奈川/愛知/京都/大阪/兵庫/広島/福岡) の映画館
※映画館の詳細については後日サザンオールスターズオフィシャルサイトsas-fan.net で告知
【日程】
2016年
12月31日 開演 21:30
※参加には別途チケット代が必要となります
※注意事項や応募方法等の詳細は、シングル「君への手紙」に封入されている参加応募券をご覧ください

「君への手紙」シングルスペシャルサイト
「君への手紙」SPECIAL SHORT MOVIE
サザンオールスターズ公式サイト"sas-fan.net"
サザンオールスターズ 公式 YouTube channel
桑田佳祐 公式 YouTube channel
サザンオールスターズ公式Facebook
sas-fan.net公式ツイッター @sasfannet

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