the GazettE、“DOGMA”ツアー69本目の集大成 熱狂が渦巻いた幕張公演レポート

the GazettE、“DOGMA”ツアー69公演の集大成

 9月27日、千葉・幕張メッセ国際展示場ホール10にてthe GazettEによるフリーライブ『the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 GRAND FINALE DOGMA-ANOTHER FATE-』が開催された。

 2015年3月のバンド結成13周年を記念する武道館公演の後「PROJECT:DARK AGE」というプロジェクトを発表。その核というべき新たな漆黒の教義、アルバム『DOGMA』を15年夏にリリースし、秋から年始にかけて行われた全国ホールツアー「DOGMATIC -UN-」と「DOGMATIC -DUE-」、春には世界10カ国15公演のワールドツアー『the GazettE WORLD TOUR16 DOGMATIC -TROIS-』、そして夏には国内のオールスタンディングツアー『STANDING LIVE TOUR 2016 DOGMATIC - ANOTHER FATE -』を敢行し、文字通り世界中に“DOGMA”を刻みつけてきたthe GazettE。

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 本公演はフリーライブという体裁だが、参加には『DOGMA』の完全生産限定盤の箱の中に隠されていた「GOLDEN TICKET」が必要。このチケットは発売前には告知されておらず、今年1月に存在が明らかにされた。さすがthe GazettE 、やることにやたらと手が込んでいる。

 会場に到着すると、黒、黒、黒、漆黒の群衆でフロアが埋め尽くされていた。

 影アナがライブの注意事項を一通り説明し、最後に「the GazettE からのプレゼントを存分に楽しんで下さい!」と告げると、開演を待ちきれない様子のフロアから歓声と手拍子が響き渡る。BGMからSE「NIHIL」になると歓声は格段と大きくなり、ステージにメンバーのシルエットが現れるとそれは絶叫に変わる。

 そして流れるように1曲目の「DOGMA」へ。RUKI(Vo.)の咆哮と共に波を打つかのように身体を激しく揺らすファン。「思いっきり暴れていこうぜ!」という声を合図に「RAGE」が始まると、せきを切ったように数千人のヘッドバンギングが発生する光景は壮観だ。畳み掛けるように繰り出される「DAWN」。彼らの一挙手一投足に呼応するフロアはありがちな「一体感」を通り越してひとつの大きな生き物のように見える。徐々に激しさを増すフロア、もちろんバンドも負けてはいない。戒(Dr.)とREITA(Ba.)の繰り出す屈強なリズムの上に、麗(Gt.)と葵(Gt.)の漆黒のメロディ、そしてRUKIの声が乗り、the GazettEの世界観が広がっていく。

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RUKI

 「葵! 葵! 葵! 葵!」「戒! 戒! 戒! 戒!」など、メンバーを呼ぶ声がこだまするフロア(息継ぎをせずにひたすらメンバー名をデス声で連呼するコールは90年代V系からの伝統芸ではあるものの、近年は主流ではないので、個人的にこういうコールが巻き起こるのは嬉しくもある)。「野郎ども待たせたな!」とRUKI。その声にひときわ大きな歓声が巻き起こる。ちなみにこのフロアにいるファンの大半は女性なのだが、何故か「野郎ども」という表現がピッタリくる。

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REITA

 続けて「GOLDEN TICKET ONLY(ライブ)ということで、ここにいる人たちは相当なイカレ者だと思います。今日は俺らも楽しんじゃうから、一緒に“大打ち上げ”ということで盛り上がろうぜ!」と更にフロアを煽るRUKI。「GABRIEL ON THE GALLOWS」「VENOMOUS SPIDER'S WEB」「CLEVER MONKEY」といった、アッパーチューンを叩き込む。

 暗転したのち、「BIZARRE」を皮切りに「DEUX」、「OMINOUS」といったミドルテンポのナンバーが続き、とくに「DEUX」サビの歌詞の<自我境界破れて 心が壊れてしまった>に合わせて膝から崩れ落ちるRUKIと、真っ赤な照明に照らされたバンドの姿は幻想的で、演劇のようだった。

 そしてダンサブルな「THE SUICIDE CIRCUS」を挟んで、二度目のMCタイムでは、フロアとステージの距離を今日はギリギリまで近づけたと説明するRUKI。「だからいつも以上に行きましょう!」とフロアを鼓舞し、『DOGMA』きってのハイスピードナンバー「LUCY」で盛り上げた。

 「まだまだ力あり余ってるんじゃないのか? ガンガン演っちゃっていいから、全力で来いよ! カオスになっちまえ!」とRUKI。「HEADACHE MAN」「UGLY」「BLEMISH」とラストスパートをかけていく。本編を締めくくる「UNDYING」ではさっきまでの狂騒が嘘のように静かになるフロア、そして闇に溶けるようにメンバーはステージから消え、それと同時にアンコールを求める声が湧き上がる。その声は十数分の間ずっと声は止まず、それどころかステージに照明がついてもメンバーが登場するまでアンコールの声は続き、ファンの貪欲さが伺えた。

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