Happiness、高度なパフォーマンスで同世代が支持 真の意味での“SPEEDの後継者”となるか

参考:2016年10月10日~2016年10月16日週間CDアルバムランキング(2016年10月24日付)(ORICON STYLE)

 宇多田ヒカル『Fantôme』が初登場から3週連続で1位を獲得。2016年の日本の音楽シーン最大のニュースと言っても良いであろう作品に対して、リスナーも敏感に反応している。何の特典もない単一タイプ発売でのこのチャートアクションは今の時代において本当に貴重なものであるとともに、母の死と向き合ったうえで生まれたシリアスなトーンの作品(もちろんそんな一言では語りつくせない重層的な作品ではあるが、「ハッピーで楽しい」という類のアルバムでないことは確かである)がセールスとしても成果を残していることに多くの音楽家が勇気づけられているのではないだろうか。また、映画の大ヒットの余勢を駆ってRADWIMPS『君の名は。』が4位に再浮上しているとともに、野田洋次郎のソロプロジェクトであるillionのアルバムも8位にランクイン。RADWIMPSに関しては「紅白に初出場か?」なんて噂も出てきており、特定世代におけるカリスマ的存在だったバンドが国民的なグループへと飛躍していくのかどうか、この先の動向を注視していきたい。

 さて、今回取り上げるのは2位に初登場したHappinessの『GIRLZ N’EFFECT』。LDHのグループに対しては多作のイメージを勝手に持っていたが、前作『Happy Time』から約4年のインターバルを置いてのオリジナルアルバムのリリースとなった(ちなみに同門のDreamも現体制になってからオリジナルアルバムは1枚のみ、Flowerは2014年と2015年にオリジナルアルバム、2016年にベスト盤をリリース)。

 最近のLDH系列の作品はEDM以降のダンスミュージックを基調にしたパワフルな雰囲気のものが多いが、『GIRLZ N’EFFECT』も基本的にはその流れの中にある作品と言って良さそうである。ヒップホップテイストが散りばめられたパーティーチューン「Holiday」「Love Wonderland」や<ボン><ブン>といった歌とも掛け声ともとれるボーカルがホーンとともに力強く響く「Born to be Free」「Sexy Young Beautiful」など、「これぞLDH節」という記名性のある楽曲が多数収録されている。前作『Happy Time』ではカラフルさやキュートさも感じられるJ-POP的な趣の楽曲も多かったが、『GIRLZ N’EFFECT』のサウンドからはアメリカの大文字のポップスやK-POPとの親和性が強く感じられる。

 女性7人で構成されるHappinessは、そのプロフィールだけ見れば昨今のマーケットの中心となっている「女性グループアイドル」として位置付けることもできなくはない。ただ、多くの人はHappiness(およびE-girlsを構成するLDHの女性グループ)のことをそのシーンの中には含めない。おそらくその背景には、とにかくトレーニングをしてフィジカルのレベルを上げようというLDH的な発想と、一般的に想起される「アイドル」のあり方(可愛らしい、男性ファンとの「接触」が大事など)との距離感があるはずである。なよなよした男を叩き斬ってしまいそうな豪快さと鍛錬に裏打ちされたスキルの掛け合わせが、彼女たちにアイドルシーンとは異なる立ち位置を与えている(アイドルシーンの中で可愛らしさを担保しつつスキルフルなパフォーマンスを志向している存在として東京女子流や9nineがいるが、グループの佇まいも支持層もだいぶ異なる)。

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