XOXはボーイズグループ界の“パンク”を目指す 仕掛け人による戦略とグローバルな音楽性を分析

XOXはボーイズグループ界の“パンク”を目指す

 “ジェンダーレス男子”として話題のリーダー・とまん、バトシン、志村禎雄という3人の原宿系人気読者モデルに、ソニー・ミュージックと若者に絶大な人気のアパレルWEGO主催の全国オーディションで選ばれた田中理来、木津つばさを加えた5人組ボーイズグループ、XOX(キスハグキス)の快進撃が続いている。彼らは2015年12月のメジャー・デビュー曲『XXX(キスキスキス)』をオリコンチャートの11位に送り込むと、2016年の『Ex SUMMER(エックス・サマー)』では同チャートの6位を記録。5月にラフォーレミュージアム原宿で初ワンマンを成功させ、今回11月にリリースされたばかりのメジャー第3弾シングル『Skylight』もオリコンデイリーチャートの7位を記録している。

XOX「Skylight」

“オシャレな子がオシャレな音楽をやっている”という強さ

 その人気を支えるのは、各メンバーのストリート感溢れるファッション・センスと、全員がフロントを務められるような存在感。その個性を生かすためか、XOXはZOO以降日本のダンス・ボーカル・グループのひな型のひとつになったボーカリストとダンサーの分業制は採用せず、メンバーが揃ってダンス/ボーカルを担当している。また、総フォロワー数70万人にのぼるTwitterやMixChannelといったSNSも積極的に活用。日本のユース・カルチャーの先端を走る原宿のストリートらしい、ポップさとエッジを兼ね備えた高い音楽性も大きな話題になっている。彼らを中心となって手掛けているのは、とまんやバトシン、志村禎雄、こんどうようぢらによって結成した原宿系読モの中心チーム「読モ BOYS!&GIRLS!」の発起人であり、著書『ジェンダーレス男子』でも知られる総合プロデューサーの丸本貴司氏と、真心ブラザーズやスチャダラパー、フジファブリック、凛として時雨などの音楽ディレクションを歴任し、近年は夢みるアドレセンスなどでポップ・グループのクリエイティブも手掛けるソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズのチーフプロデューサー、薮下晃正氏。2人はXOXの個性をこう語る。

「彼らはオシャレをキーワードに集まっているので、クラスの中でも流行の最先端をいく子たちだと思うんですよ。でも日本のボーイズグループを考えた時、そこではドメスティックなある一定の音楽性のものが多くて、僕としてはそれはあまりオシャレじゃないなと思ったんです。だから、XOXではドメスティックなアプローチは敢えてやらないということを決めました。それに『この人がこれを歌ったら似合うだろうな』と、“服と同じ感覚”で音楽を考えた時、トレンドのちょっと先を行くようなものの方が、メンバーの感覚にも近いと思ったんですよ」(丸本)

「彼ら自身が今の原宿を中心としたユース・カルチャー、ストリート・カルチャーの主人公ですから、第一に彼らがかっこいいと思える音楽にしたい。そこで流行っているからといってド直球のEDMをやる必要はないんじゃないかとか、最初に禁じ手を決めていきました。裏テーマとしては近年の90年代的なものの再評価や、マーク・ロンソンを筆頭にした往年のダンス・ミュージック・リバイバルへの共感という側面もあって、流行を取り入れつつも一過性のモノではなく時代の流れに耐えうる恒久性を意識していますね」(薮下)

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