さかいゆうが語る、音楽への情熱とポップスの難しさ「止まることもなく、ずっと続けてる」

さかいゆうが語る音楽への情熱とポップス

さかいゆうが7thシングル『再燃SHOW』をリリースする。映画『幸福のアリバイ〜Picture〜』(原案 / 監督 陣内孝則)の主題歌として制作された表題曲は“人生は何度でも再燃させることができる”というメッセージを反映させたナンバー。4つ打ちをベースにしたダンサブルなサウンド、しなやかなグルーヴを感じさせるメロディを含め、さかいゆうの新境地とも言える楽曲に仕上がっている。

 今回のインタビューでは「再燃SHOW」の制作プロセスを軸にしながら、アルバム『4YU』以降のビジョン、シンガーソングライターとしてのスタンス、ポップスに対する考え方などについても幅広く語ってもらった。(森朋之)

「いろんな音楽が受け入れられているのは、幸せなこと」

ーーまずは4thアルバム『4YU』(2016年2月リリース)以降の活動について聞かせてください。ツアー、イベントなども精力的に行っていましたが、制作も続けていたんですか?

さかいゆう:いろいろと曲を書き貯めていましたね。けっこう数はあるんですけど、もうちょっと考えてみようと思って、まだぜんぜん取り掛かってはいないんですけど。方向性も決めてないです。

ーー新しい方向性、ビジョンを模索する時期でもあった?

さかいゆう:うーん、僕の場合は「曲を書くことがすべて」という感じなんですよね。ただ、これから音楽は変わっていきそうな気がしています。トランプさんが大統領になったし(笑)。

ーーかなり衝撃的な結果でしたからね。

さかいゆう:社会の変化と音楽は密接に関わってるから、こういうときってすごい音楽が生まれたりするんですよね。芸術に携わっている人にとっては、悲しいことがあったとしても、それがマイナスにならないこともあるので。僕の場合は純粋に音楽が好きでやってるから、幸せだろうが何だろうが、作る音楽にはあまり関係なくて。その点はけっこう強いのかなって思いますね。15年以上淡々とやり続けてきて……そういう意味では、スーパー等身大ミュージックなんだと思います。

ーー音楽を聴くことも変わらずに好きですよね?

さかいゆう:はい。もっと趣味がほしいと思うくらい、“音楽、酒。以上”というのが僕のリアルライフなので。新しい音楽って、自分にとってはサプリメントみたいなものなんですよ。いろんな音楽を聴いて、それが“さかいゆう”っていうフィルターを通って、そこに引っかかったものに影響されて、また音楽を作って。そういう体質になってるんですよね。そこまで「新しいものを聴こう」って意識しているわけではないけど、自然と入ってきますから。CDショップに行って、自分の音楽とはあまり関連性のないアーティストのアルバムを試聴して、「いいな」と思って買ったりもするし。それでどこまでフォローできているかはわからないですけどね。

ーーポップスをやっている以上、できるだけたくさんのリスナーに聴かれることも大事だと思いますが、自分がやりたいこととポピュラリティのバランスについてはどう捉えてますか?

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さかいゆう:そのバランスはあまりないかもしれません(笑)。まあ、ジャズもロックもポップスだし、キューバに行けばラテンもポップスですから。「僕らにとってのポップスとは何か?」というのは哲学的なテーマでもあるし、ふだんはあまり考えないです。流行ってるものが最新かと言えば、そうでもないですからね。最近はハイトーン(のボーカル)が多いけど、マイケル・ブーブレみたいに低い声のボーカリストも人気だったりするから、一概には言えないじゃないですか。ただ、そうやっていろんな音楽が受け入れられているのは、幸せだなとは思いますけどね。何でも聴けるし、何でも吸収できる時代にいられるのはラッキーだなって。ここからどうなっていくかはわからないですけど。

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