カノエラナ、多彩な歌で表した“みんなの心の中” 初ワンマンツアー東京公演をレポート

カノエラナ初ワンマンツアー東京公演レポ

 カノエラナが、初ワンマンツアー『とうめいはーん!!! さがすぜ勇者たち。』を東名阪と地元・佐賀で開催。本稿では、12月2日の渋谷CLUB QUATTORO公演をレポートする。

 今回のツアーはメジャー1stミニアルバム『「カノエ参上。」』を携えて行われたもの。カノエラナは、Twitterで定期的に公開していた30秒弾き語り動画をきっかけに話題になり、今年8月にメジャーデビューしたばかりのシンガーソングライターだ。この日のライブでは、曲ごとに歌声を自在に使いわけ、様々な表情を見せるボーカリストとしての豊かな表現力を味わうことができた。

 バンドメンバーに次いでステージに現れたカノエラナ。ライブは、自己紹介ソング「カノエラナです。」からスタートした。地元・佐賀県の方言も交えながら、自分のプロフィールを紹介していくこの曲にあわせ、オーディエンスの振り付けもオープニングからバッチリ決まる。続く「恋する地縛霊」でも、裏打ちのビートと軽やかに跳ねるメロディがスピーディに展開され、会場のボルテージも一気に上がっていった。

20161216-kanoerana3.jpg

 

 MCを挟み、次は「シャトルラン」「あたしの彼氏は二次元の人」へ。夏を意識した爽やかな曲もあれば、アニメや漫画の登場人物にときめく自分を歌った曲もある。自分の中にある等身大の感情を、ありのまま曲にしていくソングライティングは、カノエラナの特徴のひとつ。牧歌的なアレンジの「大事にしてもらえよ」でも、彼氏のできた女友達に向けた素直な思いを、声色まで変化させながらユーモアたっぷりに歌い上げる。5カ月連続の月1ワンマンや本ツアーでともにステージに立ってきたバンドメンバーとの掛け合いも抜群で、「真夏に片想い?」では、曲中でメンバー紹介とソロ回しも披露した。

 MCでは、今回のツアータイトルとグッズにちなんだゲームの話でオーディエンスも巻き込みながら、一人一人を徹底的に楽しませていく。11月25日に配信リリースがスタートした新曲「おーい兄ちゃん」の、居酒屋で後輩に人生を説く“兄ちゃん”に物申すというユニークな歌詞と、ボトムの効いたバンドアンサンブルのスリリングさとのギャップには、新鮮な驚きがあった。そのフレンドリーなムードから一転、ロックバラード「星と太陽」では、色気を感じさせるしっとりとした声を響かせる。
 
 終盤からフィナーレにかけては、ぐっとテンションを高めていく展開へ。MCで振り付けを伝授してからはじまった「ヒトミシリ」は、ライブでは鉄板の盛り上がりを見せる曲。サビの<そんなにあたしが知りたいならば3回まわってワン!と鳴け>というインパクト抜群のフレーズにあわせ、オーディエンスも踊りながら声を出して応える。さらに、ダンサブルな「モットアタシヲ」では、カノエラナ自身もステージの上を大きく使ってハンドクラップやジャンプを披露。そして、「みんなと一緒に歌いたい」と紹介してから始まったラストナンバーは、「START」だ。この曲中には、ファンからのサイリウムのサプライズ演出があり、カノエラナも驚いたような表情を見せながら喜んでいた。その演出と相まって、<I know 歩き出した/進んだ一歩を噛み締めながら強く>の大合唱では会場に温かな一体感が生まれ、本編は幕を閉じた。

20161216-kanoerana5.jpg

 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる