フレンズが明かす、ハイクオリティなJ-POPが生まれる源泉 「最初の5秒に魔法をかけたい」

フレンズが鳴らす“J-POP”はどこから生まれる?

 おかもとえみ(Vo/科楽特奏隊、ex. THEラブ人間)、ひろせひろせ(Vo・Key/nicoten)、三浦太郎(G・Cho/ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、長島涼平(B/the telephones)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr/ex. The Mirraz)の5人からなる“神泉系バンド”・フレンズ。2015年6月の結成以降、彼らは「夜にダンス」「Love,ya!」などのキラーチューンを世に送り出し、わずか1年ほどで音楽ファンに一目置かれる存在となった。2016年5月にライブ会場&オフィシャルサイト通販限定で1stミニアルバム『ショー・チューン』を販売したところ瞬く間に5000枚を売り上げ、このたび満を持して初の全国流通盤1stアルバム『ベビー誕生!』がリリースされた。

 その人気の秘密は、おかもととひろせが生み出す楽曲のハイクオリティなポップネス、観客参加型のエンターテインメント性あふれるライブ、そして何よりバンド全体がまとっているハッピーな雰囲気にあるだろう。インタビューでは、それらの源泉を探るとともに、2017年のブライテストホープと呼べる彼らの素顔に迫った。(鳴田麻未)

「セカンドキャリアと思われたくなかった」(長島涼平)

――フレンズの発起人というとどなたですか?

ひろせひろせ(以下、ひろせ):涼平さんですかね。僕とえみそんで作ってた曲を聴いて演奏しない? って言ってくれて。

長島涼平(以下、長島):すごいいい曲なのに2人で趣味で作ってるみたいな感じだったからもったいなくて、「絶対バンドにしたほうがいいと思う」と。そしたらひろせが「じゃあベース弾いてくれません?」って言ってくれたんで「弾きたい弾きたい!」って。それが始まりですね。

ひろせ:ベーシストがベーシストに(笑)。

――結成以降、「夜にダンス」「Love,ya!」など発表する曲はYouTubeでも絶賛の声とともに多く再生され、実力はお墨付きとあってイベントにもたくさん呼ばれ、わずか1年ほどで業界最注目の存在になったという印象です。

ひろせ:でも涼平さんが「俺たちは新人バンドだから」ってずっと言ってくれていたことがでかくて。また小さいステージからちゃんと成長して行こうぜって。

長島:セカンドキャリアと思われたくなかったんですよね。ちゃんとゼロからバンド作ったんですよっていうのを見せたかった。もちろんそれぞれの経歴的にステージでの信頼度はあると思うんですけど、いきなりでかいステージにポンッて出て、そのステージを勝ち取るために5年間戦ってきたバンドと、結成したばかりの俺らでは絶対に埋められない差があるなと思ったんです。逆にその基盤をちゃんと作っておけば、あとは大丈夫な感じがしてたので。

おかもとえみ(以下、おかもと):下地作りでけっこうな数のライブをやってきたことで、前は緊張してたような大きめのステージでもみんな楽しめるようになりました。日和らずに素の自分たちを見せられるようになったと思いますね。

――そして初の全国流通盤をリリースするという今の状況、皆さんはどう捉えていますか?

ひろせ:フレンズのことがニュースになるとき、初めの頃はthe telephonesとかTHEラブ人間の名前が出て、それこそセカンドキャリアって見方をされてたんです。なので、関連バンドのTシャツを着てた人が、次はフレンズのTシャツを着てくるようにがんばろうって気持ちでライブしてました。今は「曲がいいなと思ったら、あのバンドやってた人なんだ」とか「太郎さんってもともとボーカルなの!?」とか、そういう人が出てきたのが俺はめちゃめちゃうれしくて。

――曲きっかけで入ってくる人ってことですね。そういう人が増えてる実感はあります?

長島:めちゃくちゃありますね。今はフレンズが好きで来てくれるお客さんが大半だと思うので、単純に嬉しいです。

――それぞれのバンド内での役割やキャラクターを教えてもらえますか。

おかもと:まずはフレンズのリーダー、涼平さん。

SEKIGUCHI LOUIE(以下、SEKIGUCHI):リーダーっていうのはUNOで決まりました(笑)。

ひろせ:バンドマン歴も先輩だし、フレンズにおいて最終的なジャッジをしたり、足りないところを言ってくれるのは涼平さんなので、なるべくしてリーダーになった感じがしますね。めっちゃ勉強になります。

SEKIGUCHI:ここ一発の大事なときに尻叩いてくれるのも涼平くんですね。

長島:あはは!(照れ笑い)

おかもと:みんないつもおちゃらけてるので、ピシッとした空気感を作ってくれる。こういうインタビューに答えるのも一番上手。今日は遅刻してきたけど(笑)。

長島:いやああああ! すいません! ホントにすいません!

――ステージや楽曲面で長島さんが担っている部分は?

ひろせ:涼平さんのベースでお客さんが踊ってる部分はめっちゃあると思います。

長島: 僕はフロント3人(おかもと、ひろせ、三浦)を眺めながら後ろでニコニコしてるおじさん、ぐらいの立ち位置がちょうどいいのかなって。別に作ってるわけじゃなくて本当に楽しくて笑ってるんで、バンドの楽しい空気をさらに押し出せたらいいなとは思ってますね。

おかもと:次、太郎さんはマスコットキャラというか。

三浦太郎(以下、三浦):僕は「うわ、なんだこいつ」っていう目で見られたいと思っていて。

長島:そうだったの!? 俺らの間ではえみそん、ひろせに続く“第3の男”っていうポジションなんですよ。曲の中でもそうだし普段のやり取りでも、一番おいしいところを取ってる。

SEKIGUCHI:愛くるしいって意味ではムードメーカーだよね。

ひろせ:太郎さんの“第3の男”感は、えみそんも歌詞書いてるときになんとなく考えてくれてるんじゃないかな。

おかもと:そうだね。曲の中で、私とひろせのキャッチボールを俯瞰で見てる部分を担当してもらったり、名脇役みたいな立ち位置で歌ってもらってます。

ひろせ:太郎さん、名脇役と言われて思い浮かぶのは誰ですか?

三浦:あのー、ロバートの……。

(全員沈黙)

おかもと:……なかったことにしましょう。

長島:こうやって混沌に陥れるのが三浦太郎です。

――今、誰もが役者の名前を待ってたんですけどね(笑)。SEKIGUCHIさんはどんな存在でしょうか?

おかもと:ルイくんはおしゃれおちゃめ番長。

長島:おちゃめなんですよね、何かと。

ひろせ:おちゃめエピソードで俺が一番好きなのは、みんなでいるときテレビが付いてて、中でワーッて盛り上がってるテレビに対して微笑みながら一緒にパチパチパチパチ……(顔の前で小さく拍手)。「えっ参加型!?」って。

おかもと:(笑)。ドラム叩いてるときに時折笑顔を見せてくれると「ああLOUIEくんが笑ってくれた! うれしい!」ってみんなのモチベーションが上がります。

ひろせ:そうそう。LOUIEさんを笑わせるために俺らがんばってるみたいなところありますよ。

SEKIGUCHI:だとしたら……ホントありがてえなって(笑)。フレンズは、とにかくやってて楽しいって思えるバンドですね。自分が楽しくやっちゃってるからみんなに作ってもらってる部分が多くて、ステージでは特に何も考えてないんですよね。

長島:楽しくやっちゃえるんだよね。それはみんな共通してると思う。

――ちなみにこのバンド、5人中3人がベースプレイヤーなわけですが、それは何か影響を与えてますか?

ひろせ:これは……“フレンズの音源、ベースでかい問題”っていうのにつながってますね。「ショー・チューン」のトラックダウンをしてるとき、太郎さんから俺に電話がかかってきて、「あのさあ、ベースの音でかくない?」って言われたんです。そのときまでまったくそんなこと思わなくて。

おかもと:うん、気持ちいい。

長島:ベーシストが3人いると、みんながちょっとずつ気持ちで音量足してっちゃってるんですよね。

三浦:耳コピできるレベルだったよ(笑)。

ひろせ:あと涼平さんはいつも気にしてるんですよ。俺とえみそんがベーシストだから何か影で言われてないかって。

長島:いや、俺ヘタなことできないでしょう。ベーシスト2人いて、けどその人たちは弾いてないって。家で音源聴いてるとき「自分だったらこう弾くんだけどな」とか絶対言われてんだろうと思いながら、夜、ごはん食べてます(笑)。

おかもと:あはは(笑)。一度も考えたことない。

ひろせ:うん。ただ「いいな」としか思ってないです。

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