ねごとは“自由”を志向し続けるーーバンドの今を体現した『ETERNALBEAT』ツアー

ねごとの“今”を体現したツアー最終公演

 ねごとが、2月に発売したニューアルバム『ETERNALBEAT』のリリースツアーが全国10カ所で開催され、3月24日の東京・Zepp DiverCity公演でファイナルを迎えた。『ETERNALBEAT』と『アシンメトリ e.p.』の収録曲13曲に、既発4曲を加える形で組まれたこの日のセットリストは、まさに「今」のねごとを体現するもので、「完全『ETERNALBEAT』仕様」のライブだったと言えよう。

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 最も注目すべきポイントは、何と言っても楽曲の再現度の高さ。『ETERNALBEAT』という作品は、「ねごとなりのダンスミュージック」を追求すべく、ひとまずライブでの再現性は度外視し、打ち込みと生演奏を融合させて、一曲一曲の世界観を可能な限り研ぎ澄ませた、純度の高い作品であった。それがゆえに、「はたしてこのアルバムをどうステージで再現するのか?」ということに関しては、期待と不安の両方があったわけだが、彼女たちは新たな機材を駆使して、見事期待に応えてみせた。

 ライブのオープニングは、アルバムでは終盤に配置されていた「PLANET」。この曲で澤村小夜子はSPD-SXを使って打ち込み風のビートを叩き出し、早速バンドのニューモードを印象付ける。藤咲佑はいつものようにステージ上を動き回る一方で、「school out」や「mellow」などではシンセベースを演奏し、楽曲のスクウェアなビートに対応。沙田瑞紀もまたアグレッシブなギタープレイの一方で、曲によっては脇に置かれたシンセサイザーやミキサーを用い、蒼山幸子は「アシンメトリ」のミュージックビデオでも見られたMIDIコントローラーを使って、カラフルなサウンドを自在に操っていた。

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蒼山幸子
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沙田瑞紀
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藤咲佑
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澤村小夜子

 ある意味では、4人それぞれが「パーツ」になることで楽曲を再現しつつ、そこにバンドならではのフィジカルと、さらにはライブアレンジも加わって展開される『ETERNALBEAT』の世界。曲間のつなぎも周到に練られていて、『VISION』収録の「シンクロマニカ」から、スピード感のあるリズムがライブ映えする「cross motion」、初期曲の「メルシールー」から「君の夢」など、既発曲もこの日のセットリストに自然と溶け込んでいたのは、4つ打ちを基調とする選曲自体はもちろん、つなぎの工夫ゆえだろう。最大のクライマックスはラスト3曲で、現在の方向性の呼び水になったとも言える「endless」で複数のミラーボールが会場を照らし出すと、「アシンメトリ」「ETERNALBEAT」というねごとの“今”を象徴する2曲を続けて本編を締め括った。

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