ゲスの極み乙女。の新たなスリルと興奮ーー活動再開を祝うワンマンライブを観た

ゲスの極み乙女。活動再開ワンマンを観た

 5月10日、活動を休止していたゲスの極み乙女。が、Zepp Tokyoにておよそ5カ月ぶりのライブを開催した。

 当日は昨年12月より発売延期となっていたアルバム『達磨林檎』のリリース日でもある。会場には、現地でアルバムを購入しくじ引きで当選したファン2500人が集まり、収録曲「心地艶やかに」「某東京」「シアワセ林檎」を含む全15曲を披露した。

170523-gesu3.jpg

 

 開演時間が過ぎると、紗幕が降りたステージにメンバーのシルエットが映り、ほな・いこか(Dr)→休日課長(Ba)→ちゃんMARI(Key)→川谷絵音(Vo・Gt)の順で各楽器の音を重ねていき、1曲目「パラレルスペック」のイントロへと流れ込む。メジャーデビュー作『みんなノーマル』に収録されたこの曲は、各楽器の響きを活かしたAメロ〜Bメロから、サビでは一気にそれぞれの音が絡み合い、キャッチーなメロディが展開されていくゲスの極み乙女。の真骨頂とも言える楽曲。ひとりひとりの音がその個性を主張させながら並走していくスリルと、それがひとつになった時の興奮がある。印象的なメロディで観客を引き込むちゃんMARIの鍵盤が冴え渡った「私以外私じゃないの」、課長が低い位置を動き回るベースラインを弾く「星降る夜に花束を」、いこかが豪快かつ硬質なドラミングを響かせた「サイデンティティ」。ふたりのコーラス隊も含め、誰もが主役を張れるスキルと存在感を持つことが、ゲスの極み乙女。が持つオリジナリティの源なのだろう。

170523-gesu-e.jpg
川谷絵音
170523-gesu-h.jpg
ほな・いこか

 新曲「心地艶やかに」では、ちゃんMARIがアコースティックギター、課長がシンセサイザーを弾き、音もこれまで以上に色彩豊かに。川谷もファルセットを使って、曲の世界を盛り立てていく。「ロマンスがありあまる」を挟み、再び新曲「某東京」へ。川谷のエキセントリックで矢継ぎ早なスポークンワーズやシャウト、そしてコーラス隊ふたりの巻き舌と、声/歌の技巧によってスピーディに展開していくさまは圧巻。また、ジャズやクラシックの要素も感じられた「シアワセ林檎」では、いこかがドラムセットから離れてフロントに登場。そのまま川谷とデュエットし、色気のある歌声を聴かせた。そしてその間にはindigo la Endの佐藤栄太郎(Dr)がいこかの代わりにドラムを叩くというサプライズもあり、観客からは大歓声があがった。『達磨林檎』はポップなだけではない、どことなくアンニュイでセンチメントな空気も感じられる作品。『魅力がすごいよ』『両成敗』という2枚のアルバムで培われた、ゲスの極み乙女。のイメージを自ら刷新していくような新しさを提示し、バンドや各メンバーのパートにこだわらずに刺激的な音楽を模索する、意欲的な楽曲が揃っている。

170523-gesu4.jpg

 

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる