島爺×ナナホシ管弦楽団が語る、初の“アニソン”への意気込み 「物語とセットで育ってくれたら」

島爺×ナナホシ管弦楽団対談

 島爺が6月14日に1stシングル『ガッチェン!』をリリースした。

 島爺はネット上で絶大な人気を誇る“歌い手“だ。昨年には1stアルバム『冥土ノ土産』をリリースし、ネット上のみならず、メジャーフィールドにおいてもその名を広げてきた。今作の表題曲「ガッチェン!」はアニメ『デジモンユニバース アプリモンスターズ』の主題歌でもある。

 今回、リアルサウンドでは島爺と、「ガッチェン!」の楽曲制作を担当したボカロPであるナナホシ管弦楽団との対談を企画。歌い手として、そして楽曲の制作者として、コラボレーションを果たすことでふたりは互いにその才能を認め合い、さらに高め合っている存在だ。二人の出会いやその印象、今作の制作過程、そして、来る6月16日に赤坂BLITZで開催する島爺初のライブ『冥土ノ宴』について、じっくりと語ってもらった。(編集部)

「島爺さんは曲を作っている側のイメージを超えてくる人」(ナナホシ管弦楽団)

――ファンにはおなじみのコラボですが、これまではハードロックの印象が強く、今回のアニメ主題歌という展開には驚きがありました。本作についてもじっくり伺いたいのですが、まずはそもそもどんな経緯でコラボを重ねることになったのか、聞かせてください。お互い、最初に存在を認識したのは?

島爺:僕はニコニコ動画で、「あの娘のシークレットサービス」(2012年)を歌わせてもらったのがきっかけです。この曲で初めてナナホシさんを知って、やっぱりハードロックの印象でしたね。ボーカロイドの原曲を聴いて、「歌えたら面白いな」って、練習を重ねて、なんとか動画をアップできました。

ナナホシ管弦楽団(以下、ナナホシ):僕もその動画で知りました。人が歌うことを想定せずに好きに作っていたので、「歌える人、いるんやな」というのが正直な感想でしたね。「マジか、スゲェな」と(笑)。

――島爺さんといえば、ファンの間では「選曲に定評がある」歌い手ですが、その後もナナホシさんの楽曲を歌い続け、「MISTAKE」(2013年)は現在、ニコ動で130万再生を突破しています。実際に連絡を取ったりはしていたのでしょうか?

島爺:それがもう、ぜんぜん(笑)。

ナナホシ:今日がほとんど初対面ですからね。

島爺:(1stアルバム『冥土ノ土産』に唯一、書き下ろし曲として収録した)「OVERRIDE」を作っていただいたときも、僕は「ナナホシさんにお願いしたいです。とりあえず“速いの”を」と伝えただけで(笑)。「歌ってみた」がそうだったように、細かく注文して作っていただくより、ナナホシさんのイメージで曲を書いてもらって、それに合わせて歌うのがいいと思ったんです。実際、でき上がってきた曲はドンピシャでした。

――直接的にコミュニケーションを取らず、“コラボ”を重ねていくなかで、お互いにどんな印象を持つようになりましたか。

島爺

島爺:ハードロックのイメージから入って、過去の楽曲をさかのぼっていくと、ナナホシさんの作品はかなり幅広いんですよ。ガチガチのロックだけじゃなく、シャレが通じる部分もあるし、懐が広くて、何をしても許されるというか(笑)。

――確かに、ナナホシさんには「不純異性交遊P」という異名もあり、色気のある大人の楽曲も大きな魅力ですね。ナナホシさんは、島爺さんの歌についてどう捉えるようになっていきましたか。

ナナホシ:曲を作っている側のイメージを超えてくる人だな、と思います。「OVERRIDE」もそうだし、今回の「ガッチェン!」もそうなんですが、これは歌えないだろう、という無茶なメロをつけても、歌いこなすどころか、それを超えてくるんですよね。

――なるほど。お互いやりたい放題やって、それが相乗効果でいい作品になる、という関係なんですね。さて、今作『ガッチェン!』は島爺としての1stシングルで、活動記録的な意味合いもあったデビューアルバムとはまた違った決意もあったと思います。制作はどんなところからスタートしたんですか?

島爺:まず「アニソンのタイアップは興味ありますか?」という話があって、それがあの『デジモン』シリーズだと言うので、「それやったら、ぜひエントリーだけでもしてください!」とお願いして。そのときは、まさか主題歌を担当できるなんて思ってもいなかったんですよ。僕としては、「選考で落ちても、アニメの制作スタッフの方に僕の歌を認識していただける」という気持ちだったので、本当に驚きました。それで、曲をどうしようか、と考えたときに、ナナホシさんの名前しか出てこなかったんです。ほかのボカロPとか、作曲家さんという選択肢もあったのかもしれませんが、やっぱり信頼感が違って、ナナホシさんなら絶対にいい曲を書いてくれるだろうと。

――ナナホシさんは、その話を聞いてどう感じましたか?

ナナホシ:「やるっきゃねー!」ですね。『デジモン』シリーズはリアルタイムで観てきましたし、僕も「まさか」という感じでした。すぐに作品資料をいただいて、イメージを膨らませて。

ナナホシ管弦楽団

島爺:今回も本当におまかせだったんですけど、ただひとつだけ、僕が歌うから、ナナホシさんが作るから、ちょっとひねくれたものを……ということではなく、本当にアニメソング然としたものを、ということを漠然と考えていました。普通のシングルをアニメタイアップにした、ということではなく、きちんと作品に寄り添ったものにしたいと。僕の名前は認識してもらえなくてもいいんです。ただ、アニメを観ている子どもたちに口ずさんでもらえたら。

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