『SATANIC CARNIVAL’17』ライブレポート パンク/ラウドシーンは、成熟期からさらなる拡大へ

『SATANIC CARNIVAL’17』レポート

 4回目を迎えたレーベル〈PIZZA OF DEATH〉主催による“悪魔の宴”的イベント『SATANIC CARNIVAL’17』。例年と同じく「SATANIC STAGE」、「EVIL STAGE」と2ステージ制で行われたが、今年は2デイズ開催に踏み切り、計39バンドと一気に出演アーティストが増えた。2日間に渡り、両ステージを動き回りながら、ふと思ったのはパンク/ラウドロックのカルチャーを培い、育み、受け継ぐ“最高の遊び場”として機能していたことだ。ただ、遊び場という意味では1回目からライブハウス慣れした観客が多かったのか、そういうムードは漂っていた。4回目を数え、初出演組がいる一方で、複数回出演しているバンドも多くいる。そうなると、自分たちがこのカルチャーを背負い、引っ張っていくという気概が芽生え、メラメラした闘志が浮き彫りになる場面に多く出くわした。それがなにより頼もしく、パンク/ラウドシーンは成熟期に突入していることを痛感させられた2日間だった。

 初日の「SATAN STAGE」に大抜擢されたのは長崎発のSHANK。結成13年目に入る彼らだが、個人的にも期待しているメロディックバンドのひとつ。伸びやかなハイトーン、キレ味鋭い演奏は大舞台でも映えていた。それからROTTENGRAFFTY、dustbox、coldrainとライブ猛者たちが続き、夕刻に登場したのはKen Yokoyama。冒頭に「こんなラウドなイベントはそうない」とKen(Vo/G)が語り、初の2デイズ開催を踏まえて、現行シーンの充実ぶりを誇らしく感じたのかもしれない。ライブ自体は白いマイクを客席に投げ、一緒に歌ってくれ!と叫び、「Believer」では大合唱を巻き起こし、ダントツの存在感をアピール。そして、2年ぶりにライブ活動を再開させたマキシマム ザ ホルモンは腹ペコたちをなぎ倒す怒濤の演奏力を発揮。スクリーンを使用した演出、自由放埒なナヲ(ドラムと女声と姉)のMCを含め、さらに針が振り切れたパフォーマンスで魅了。2年のブランクを吹き飛ばし、やはりホルモンじゃなきゃダメだ! とすべての観客に言わしめる圧巻のステージだった。それから10-FEETが人間味溢れるパフォーマンスをした後、初日のトリを飾ったのはSiM。昨年10月に横浜アリーナ公演を大成功に収めた彼らだが、その自信に満ちたオーラは「先輩たちの後にやるのは気持ちいい、我々の時代が来た!」という不敵なMCにも表れていた。ただ、言葉だけではなく、実力勝負で階段を一段ずつ駆け上がってきたことにも触れ、WANIMAに負けていられないとフロアを焚き付ける鼻っ柱の強さ。“悪魔の宴”に相応しい毒の効いたショーを完遂する。

 初日の「EVIL STAGE」はSABANNAMAN、ENTHの初出演組が大健闘。特に後者は次世代メロディックを担うエネルギッシュなライブが印象的だった。また、Oi-SKALL MATESはフロアをスカダンス天国に導き、ベテランの貫禄を若い人にも存分に知らしめる好リアクションで迎えられていた。それから昨年は度肝を抜く熱血ライブを見せたDizzy Sunfistは、今年トリ前に登場。「ハイスタの遺伝子を見せつけにきた!」とあやぺた(Vo/G)は吠え、気迫漲るメロディック魂で観客を射抜いた。その後にトリを担ったのはCRYSTAL LAKEだ。Limp Bizkitのカバー「Rollin'」で壮絶に盛り上げ、「Black And Blue」においてはJESSE(Vo)とガチのボーカルバトルを繰り広げ、来年は「SATAN STAGE」を狙うと堂々宣言。今の彼らはラウドシーンをさらに活気づける勢いに満ちている。その勢いはこの場でも大爆発していた。

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