KICK THE CAN CREWは自らをアップデートし未来に進む 復活の狼煙上げた熱狂ライブをレポ

KICK THE CAN CREW、SLSレポ

 スペースシャワーTVが主催する野外ライブイベント『SWEET LOVE SHOWER 2017』が、今年は8月25~27日の3日間にわたって山梨・山中湖交流プラザ きららで開催中だ。リアルサウンドでは、同イベントのライブレポートを掲載。本稿では、2日目である26日、KICK THE CAN CREWのライブの模様をレポートする。

 早くも折り返し地点を迎えた2日目のLAKESIDE STAGE、ここでKICK THE CAN CREWの登場だ。来たる8月30日には14年ぶりのニューアルバム『KICK!』をリリース、そして9月7日には日本武道館にて『復活祭』を開催。本格的な再始動も間近というタイミングで、この『SWEET LOVE SHOWER 2017』のステージに立つ。KICK THE CAN CREWは、同フェスの開催地がまだ日比谷野外音楽堂だった頃から出演していたこともあり、縁も深い。これはきっと、特別なライブになるのでは。

LITTLE

 定刻になるとKREVA、LITTLE、MCUがステージにふらっと現れ、そのまま「千%」がスタート。今年6月にMVが公開されたこの曲は、2004年の活動休止以来初めて発表された新曲。3人のマイクリレー、そしてサビでの力強いユニゾンを経て、ここに堂々と復活の狼煙を上げた。そして三三七拍子をアレンジしたビートでおなじみの「地球ブルース~337~」、「マルシェ」と続いていく。<上がってんの?下がってんの? 皆はっきり言っとけ!>のフレーズに対して、オーディエンスが大きく「上がってる!」と応えたのはもはや言うまでもないだろう。

 息つく間もないスピード感と語感で生み出すリズムの痛快さ、そしてくるくると立ち位置を変えながら歌い繋ぐステージ上の3人の姿には、一切の隙がないが、ひとたびMCに突入すれば「KREVAです」「LITTLEです」「MCUです」「3人合わせてKICK THE CAN CREWです!」と聞き覚えのある挨拶をするお茶目っぷりである。ここで披露されたのが、KREVA曰く「KICK THE CAN CREW史上掛け合いの最も難しい曲で、成功率は1%未満」だという「SummerSpot」。いざ聴いてみると、1センテンスずつ、もしくは1ワードごとにマイクを取る者が変わる、という構成になっているのだ。これは確かにかなりの瞬発力を要する。3人が復活を決めたのは、長年のソロ活動を経て、今の自分たちならばKICK THE CAN CREWを更新することができるという手応えがあったからなのだろう。その片鱗を垣間見ることのできた瞬間だった。

 「イェーイ! できた!」「今日はもういいよ、帰ってドラクエやろう」と、「SummerSpot」成功を祝しつつ、「いや、この曲は終わったけど、俺たち、そしてみんなの夏はまだ終わっちゃいないぜ!」と突入した後半戦でも「イツナロウバ」「アンバランス」などヒットソングを惜しみなく披露したサービス精神たっぷりのセットリストだった。しかし、オーディエンスが終始熱狂していたのは、そこに懐かしさのような感情が芽生えたからではなく、紛れもなく現在進行形であるKICK THE CAN CREWの姿を目撃できたからであろう。

(文=蜂須賀ちなみ/撮影=岸田哲平)

■セットリスト
KICK THE CAN CREW
『SWEET LOVE SHOWER 2017』
2017年8月26(土)山梨・山中湖交流プラザ きらら

1. 千%
2. 地球ブルース~337~
3. マルシェ
4. SummerSpot
5. イツナロウバ
6. sayonara sayonara
7. アンバランス

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