KinKi Kids、“謎解きしたくなる”二人の魅力 無意識にシンクロする関係性を紐解く

 「キンキらしさは特にないっていうのが、キンキらしさですかね。 みんな、その謎解きを一生懸命やろうとしてるけど、僕ら的には何も考えてない」8月27日に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、KinKi Kidsデビュー20周年を彩る、 まさに神回と呼ぶにふさわしい充実した内容だった。

 「ホント何も考えていない」そうケロッと話す堂本剛の言葉を、堂本光一が「自然なんですよ。KinKi Kidsらしいものをやろうよ、っていっても漠然としてる。でもなんとなくそれは共通認識なの」と補う。こうしたやりとり一つ切り取ってみても、“あうんの呼吸” を感じる。

 これまでKinKi Kidsの楽曲を16曲も手掛けてきた、ファンにはおなじみのシンガーソングライター・ 音楽プロデューサーの堂島孝平が発した「一人と一人なんですけど、KinKi Kidsっていう人格がある」とは、まさに言い得て妙。番組内でも紹介されていた「カナシミブルー」のサビ部分、<口許で>と歌うところは、何度聴いても一人が歌っているようにしか聞こえない。

 レコーディングは、いつも一人ずつ。しかも、お互いの歌声さえ聞かずに収録するが「いつもだいたい合ってる」という二人。光一が収録された音源を聞いた時、思わず「あれ? ここソロ?」と確認したこともあるほど。もちろん二人の歌声が入っており、しかも完全に同等レベルだったのだという。

 「(相手がどう歌うか)無意識の中で意識してる」(光一)、「( わざと声を細めて)二人ですよ感を出してる」(剛)。普通は意識して合わせるのに、KinKi Kidsは無意識で合ってしまうからこそ意識してズラすという不思議。しかも、それを当たり前のように話す二人。

 同じ名字であること、同じ近畿地方出身であること、同時期に事務所に入ったこと、そして似た音域の歌声を持って生まれたこと…… そうした意図せずに起こるシンクロの連続に、 ファンもそして彼らに楽曲を提供するアーティストたちも魅了され 、“KinKi Kidsって何なんだ”という謎解きをしたくなってしまうのだろう。

 番組では、「ボクの背中には羽根がある」を手がけた音楽プロデューサー織田哲郎が“哀愁と品の良さ”、「The Red Light」をプロデュースした久保田利伸が“ファンクとロックの融合”、「薔薇と太陽」を手掛けたTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉が“70年代エロス”と、それぞれが“KinKi Kidsらしさ”を考察。様々な切り口で生み出された楽曲に、挑戦を続けてきた結果「表現方法の枝が増えていった」と二人は語る。

 「音楽的な“らしさ”っていうと、僕らは何を歌っても暗くなる」というのは、二人が常々言い続けてきたこと。それは、KinKi Kidsの声質がマイナー調であり、デビュー曲の「硝子の少年」のイメージも大きい。だが、もしかしたら彼ら自身がアーティストやファンの思う“KinKi Kidsらしさ”を光源に、シルエットのような形で表現してきた結果だからなのではないか。そしてまた、KinKi Kidsの堂本光一は堂本剛が、堂本剛は堂本光一が、それぞれ光となり陰として存在しているように見えるのだ。

 番組では「剛くんに、こういうメロディを歌ってほしいと思って作ってるし、光一にこう歌ってほしいと思って詞を書いてるんちゃうかな?」と、KinKi Kidsで作る楽曲について光一が語ると、剛が当然のように頷く。光一・作曲と剛・作詞の「愛のかたまり」がKinKi Kidsという輪郭がハッキリとわかる楽曲なのは、そうした想いがあるからなのだと納得した。

 ジャニーズJr.時代から親交の深いTOKIOの長瀬智也も「それを作ったってことが感動。 きっと二人が頷いて生まれた曲だから、それは宝物」と絶賛。 そして「逃げ場のない二人の関係だったり、やり方の違う二人の人間が、一つになってやるって絶対に大変。バラエティ番組で楽しくやってる空間だけではないから。そういう苦しさも一緒に背負ってやってきたんだなと思うと、今すごくいい顔してると思う」と、共に長きに渡って音楽を生み出し続けてきた同志ならではの視点で、KinKi Kidsという存在の稀有さを強調した。

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