aikoのライブは常にスペシャルだーー攻めの姿勢と愛に溢れたツアー『Love Like Rock vol.8』

aikoのライブは常にスペシャルだ

 aikoの全国ライブハウスツアー『Love Like Rock vol.8』のファイナル公演が9月7日、Zepp Tokyoにて開催された。『Love Like Rock』は全国のライブハウスで行われる、aiko恒例のライブツアーシリーズ。今回は4月27日のZepp Tokyoを皮切りに、Zepp Osaka Baysideや新潟LOTS、チームスマイル・仙台PIT、高松festhalleなど初めてライブを行う会場を含む全国9カ所・31公演を約4カ月半にわたり開催するという『Love Like Rock』史上最長のツアーとなった。

 また、今ツアーでは各会場とも2日連続でライブが行われ、それぞれ異なる2つのセットリストを用意。そのセットリストもツアー中に曲の入れ替えが行われるなど、複数回観ても新鮮な気持ちで楽しめるaikoらしい演出が用意された。

 定刻が過ぎた頃、ステージを隠すように垂らされていた真紅の幕が下りると、さらに1枚紗幕が用意されており、そこにCGを駆使したオープニング映像が映し出される。そして映像の終了とともに紗幕が下されると、そこには真っ赤なワンピースを着たaikoの姿が。そのまま勢いよく、オープニングナンバー「夢見る隙間」でライブをスタートさせた。『Love Like Rock』のタイトルからおわかりかもしれないが、この日のセットリストは同曲を筆頭にロック色の強い選曲で、とにかく息つく暇もないくらいに“攻め”の姿勢でライブが進行していく。aiko自身もステージ上をところ狭しと動き回り、時にパワフルな、そして時に伸びやかで艶やかな歌声を会場中に響き渡らせた。

 2曲目「milk」冒頭では「ツアー最終回です。皆さんよろしくお願いします!」と元気に叫ぶ一幕も。このaikoの声に応えるかのように、オーディエンスはリズムにあわせてジャンプを繰り返す。続く「相合傘」では曲の持つスピード感にあわせ、赤と青の眩いレーザー光線が場内を飛び交う。さらに、ライブ終盤に歌われることの多い「Power of Love」が早くも登場すると、会場の盛り上がりはさらに加速。aikoはフロア中央まで延びたランウェイを走り、センターステージでファンとコミュニケーションを図っていった。

 疾走するかのごとく4曲を終えると、aikoは「今日はみんなの顔を見て、しっかり目を合わせて、心の中をえぐるような、そんな1日にしたいと思います」と宣言する。以降もビートの強い「なんて一日」「恋愛」「プラマイ」や、ポップでじっくり聴かせる「ドライヤー」「えりあし」などを連発。特に「アンドロメダ」では天井のミラーボールが回転し、フロアをカラフルで眩い光で照らし続けた。

 ライブ中盤のMCでは、aikoは今回ツアーから新たに加わったバンドメンバーについて言及する。このツアーは佐野康夫(Dr)、佐藤達哉(Key)、芳賀義彦(Gt)、須藤優(Ba)といった過去のツアーでおなじみのメンバーに、初参加の設楽博臣(Gt)、伊澤一葉(Key)の2名を加えたツインギター&ツインキーボードという新たな編成で展開。ロック色の強い選曲ながらも、音のふくよかさが耳に残るアレンジが印象的だったのも、今回のツアーの見どころ、聴きどころだったのではないだろうか。

 ライブ後半はポップな「雨踏むオーバーオール」を挟んでから、「恋のスーパーボール」で再び攻めの姿勢に。「明日の歌」では真っ赤な照明の中、aikoが情熱的な歌を聴かせる。また、この曲では歌詞がスクリーンに表示されることによって、この曲の持つ言葉の強さがより際立って響いた。さらに終盤に入ると、aikoもフロアの観客も汗だくになりながら、ともに笑顔でエールを送り合う。気づけばaikoはイヤーモニターを外しており、オーディンスの声を直接聞こうとする彼女ならではの愛情が伺えた。そして「be master of life」では曲の最後に、いかにこの日が待ち遠しかったか、その愛をストレートに伝えてライブ本編を締めくくった。

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