欅坂46、『欅のキセキ』でファンとより深くつながる? アイドル×ゲームの取り組みを考察

 欅坂46を知る上で、音楽やMVはもちろんのこと、ブログやSHOWROOM、テレビ番組『欅って、書けない』(テレビ東京)やラジオ番組など様々なコンテンツが役に立つ。そのラインナップに先日加わったのが、欅坂46公式ゲームアプリ『欅のキセキ』である。

欅坂46『風に吹かれても』

 2017年10月18日に配信が始まった同アプリは、欅坂46が歩んだ成長の軌跡と、メンバーが起こした奇跡をたどるドキュメンタリーライブパズルゲーム。スマホゲームではお馴染みのスワイプとコンボを掛け合わせたパズルゲームで、プレイヤーがマネージャーとなりメンバーと成長していく物語だ。ゲームには、メンバーのオリジナルボイスや撮り下ろしを使用。さらに特定のカードを成長させると、オリジナルムービーが見ることができるなど、ここでしか見られない特典もあるため、ファンにはたまらない内容となっている。

 アイドルとゲームという関係性で言えば、古くはファミコン時代まで遡り、1987年にディスクシステムで発売された『中山美穂のトキメキハイスクール』がある。同ゲームでは、ゲーム内に出てくる電話番号に実際に電話をすると、物語のヒントや中山美穂からのメッセージが聞けるテレホンサービスや、クリアすると実際に景品がもらえる登録システムなどを楽しむことができた。今のアイドルスマホゲームの原型とも言える取り組みは、すでに30年前からあったのだ。

 2000年代は様々なアイドル育成ゲームが誕生し、カードゲームという一つのジャンルが確立。そこに実際のアイドルを登場させ、ファンは推しメンに課金する、ゲームがアイドルグッズの一つとして重要なコンテンツになっていく。2012年に登場した『IDOL☆J@M』は、アイドリング!!!やSUPER☆GiRLS、東京女子流など、『TOKYO IDOL FESTIVAL』関連の10グループ総勢100名以上のアイドルが主役のカードゲームアプリ。ユーザーはプロデューサーとなり、オリジナルのアイドルユニットを結成し、トップアイドルを育成していく。実際にユニットがテレビ出演、ライブを行うなどのリアルイベントへと繋がっていった。

 もちろんAKBグループや乃木坂46もゲームシーンに参戦。『IDOL☆J@M』と同時期には、『AKB48 トレーディングカード ゲーム&コレクション』をリリース。トレーディングカードゲームをスマホアプリと連動させ、アプリ内でアイテムカードを買ってオリジナルカードを手に入れるといった機能のほか、AR機能を組み合わせるなど、アプリならではの新しい試みを実践した。そのほか『神の手』というクレーンゲームアプリでは、100円相当でプレイができ、ゲーム内で獲得した商品が実際に自宅に届くというシステムまで登場。『HKT48 栄光のラビリンス』や乃木坂46の『乃木恋』など、すべてを紹介することはできないが、アイドルゲームはアイドルとファンを繋ぐコミュニーケションツールとして大きな役割を果たしてきた。

 『欅のキセキ』は、メンバーの渡辺梨加が「ストーリーが懐かしかったです」、渡邊理佐が「最近欅のファンになったかたも、このゲームをやってもらえたら、きっと私達の今までのこととか、全部わかるんじゃないかなと思うので、ぜひ遊んでほしいなと思います」と、それぞれ会見で語っていたように、1800話にのぼるストーリーで欅坂メンバーが実際に歩んできた全軌跡を知ることができる。オーディションでのやりとりから、ダンスレッスン、もちろんデビューしてからの様々な出来事まで網羅されている。欅坂にはまだドキュメンタリー映画がない分、このゲームでこれまでの様子を知ることができるとも言える。この点は、架空の物語が展開されるアイドルゲームとは、大きく違うところだろう。

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