Crossfaithが10周年ツアーで見せた“信念” 初日公演をいち早く分析

Crossfaith、10周年ツアーで見せた“信念”

 結成10周年を迎えたCrossfaithが全国ワンマンツアー『10th ANNIVERSARY TOUR ONE MAN SHOWS -FAITH LAST FOREVER-』を10月27日、Zepp Tokyoからスタートさせた。このツアーは12月16日の沖縄・桜坂セントラルまで、全国11カ所で開催。また、ツアーに先駆けて10月25日には彼らが初めて東京でライブを行った場所、渋谷CYCLONEにてSiMとツーマンライブ『10TH ANNIVERSARY TOUR EXTRA 2MAN SHOWS』を行っており、こちらは11月6日に名古屋CLUB UPSETでcoldrainと共演。12月11日には大阪CLUB DROPでHEY-SMITHとの共演も予定されている。

Koie(Vo)

 さて、話題をツアー初日に移そう。この日のZepp Tokyoのフロアは、血気盛んなオーディエンスにフロアが埋め尽くされていた。そして開演時間が過ぎた頃、会場が暗転すると爆音でオープニングSEが流れ始め、メンバーがひとり、またひとりと勢いよくステージに登場する。最後に現れたKoie(Vo)がバンドロゴ入りフラッグを大きく振りながら観客を煽ると、そこからはほぼノンストップで新旧の代表曲、久しぶりに演奏されるレア曲が矢継ぎ早に披露。観客は次の曲がコールされるごとに大歓声を上げ、サークルモッシュやクラウドサーフといったアクションで、バンドの熱演に応えた。

Teru(Prog, Vision)

 まさにオールタイムベストと呼ぶにふさわしいこの日のセットリストは、まだツアー中ということでその詳細に触れることは控えるが、ライブは1stアルバム『The Artifical Theory For The Dramatic Beauty』(2009年)収録の「Mirror」から最新シングル『FREEDOM』(2017年)収録の「Rockstar Steady」まで、Crossfaithの濃厚な10年間が凝縮された楽曲の数々が“現在のCrossfaithの音”で表現されていった。改めて感じたことだが、「Mirror」のように疾走感のある楽曲はリリース当時こそ軽快さが感じられたが、今の彼らが演奏すると1音1音の重さ・太さが格段に増したことにより、ちょっと別モノではと感じてしまうほどに進化している。また、そういった初期の楽曲と最新曲「Rockstar Steady」が横並びになっても、極端に違和感を持つことはなかった。

Kazuki(Gt)

 ライブ中、Koieはオーディエンスに対して「自分たちの未来、自分たちの自由は自分の手で掴むもの」と何度も呼びかけたが、この日彼らが披露したものこそがCrossfaithが10年かけて手に入れた“未来”だとしたら、それは最高に輝かしいものじゃないかと実感した。国内での成功はもとより、結成時から海外での成功を夢見てバンド活動を続けてきた彼らが、海外の大型ロックフェスのメインステージに立てるまでに成長し、世界中をところ狭しとツアーして回る。Koie自身は「キレイなネエちゃんをはべらかすぐらいなロックスターになってるはずだった(笑)」と冗談交じりにこぼしていたが、それを抜きにしても現在の活動状況は彼らがキッズの頃に思い描いた“未来”そのものなんじゃないだろうか。

 そんな活動を数年にわたり続けているCrossfaithだからこそ、そのサウンドスタイルやライブスタイルも海外の強豪たちに負けず劣らずのものへと進化/強化させてきた。それは楽曲スタイルにも表れており、音数が多かったりスピード感が強調されていたりする楽曲が多かった初期を経て、2012年のEP『ZION EP』あたりからスピードだけに頼らないサウンドメイキングやアレンジに取りかかり出す。当時、日本よりも海外でのほうが大会場でライブを行うことが多かった彼らは、現地でパフォーマンスすることで気づいたさまざまな要因を曲作りに反映していくことで、数万人規模の大会場で鳴らしても一緒に盛り上がれる楽曲に到達したわけだ。その結果が、『APOCALYZE』(2013年)や『XENO』(2015年)といったアルバム、そしてメジャー初シングル『MADNESS』(2014年)に反映されており、この日のライブでもそういった初期楽曲とのコントラストを存分に楽しむことができた。

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