松たか子が発揮する“ソングライター”の手腕 Mステ8年ぶり出演で『わろてんか』主題歌披露へ

 時に優しく、時にクールな表情を見せ、女優として幅広い世代から支持を得る松たか子。近年は映画『告白』や『夢売るふたり』で日本アカデミー賞・優秀主演女優賞を獲得、串田和美が演出を手がけた舞台『メトロポリス』で森山未來と共演するなど、映画や舞台を中心に活動してきた。そんな中、エルサ役を務めた映画『アナと雪の女王』(2013年)で劇中歌を歌いその歌唱力の高さが注目を集めると、2016年にはレキシ「最後の将軍 feat. 森の石松さん」のボーカルとして参加、さらに約5年ぶりの連続ドラマ出演となった『カルテット』(TBS系)では満島ひかり、高橋一生、松田龍平とともに主題歌「おとなの掟」(椎名林檎詞曲)を歌唱し、多くの話題を呼んだ。1997年に「明日、春がきたら」でデビュー以降、「I STAND ALONE」「夢のしずく」などのヒット曲を世に送り出してきた松だが、『アナ雪』『カルテット』と社会現象ともいえる人気作品の楽曲を続けて歌唱したこともあり、シンガーとして再び大きな注目を集める存在となった。

松たか子『明日はどこから』

 このように近年は松の歌声や歌唱力に注目が集まっているが、実はソングライターとしても優れた一面を持つ。「夢のしずく」「優しい風」などの詞曲、「Stay With Me」「サクラ・フワリ」「桜の雨、いつか」「時の舟」といった楽曲の作詞……と、振り返ると松たか子名義での代表曲の多くは彼女自らが作詞や作曲を手がけたものだ。決して派手さはないが、生来持っている柔らかな声が生かされるポップで時に切ないメロディ。そしてシンプルかつストレートな歌詞の中に、ふと紛れこむ示唆に富んだ言葉。歌声だけでなく、これらの点もアーティストとしての松たか子を語る上で欠かせないポイントではないだろうか。

 例えば「桜の雨、いつか」(武部聡志作曲)では<もっと色んなこと話したかった>と率直な思いを書きながら、<桜の雨になる>という印象的な言葉が不意に出てくる。もちろん彼女の表情豊かな歌声があるからこそこうした歌詞の意味がしっかりと伝わるのは間違いないが、改めて一つ一つの楽曲に注目してみると松の“表現力”は詩や曲にも表れていることがわかるだろう。

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