プチミレ、Pyxis、山崎エリイ、村川梨衣が彩った特別な夜 『Holy Party Night!』レポート

『Holy Party Night!』レポ

 petit milady(悠木碧&竹達彩奈)、Pyxis(豊田萌絵&伊藤美来)、山崎エリイ、村川梨衣の女性声優アーティスト4組によるライブイベント『Holy Party Night!』が、12月9日に東京・豊洲PITにて行われた。そのタイトルからも想像できる通り、〈クリスマス〉をコンセプトとしたこの日のイベント。それぞれ個別でも人気を集める彼女たちがレーベルの垣根を越えて一堂に会し、聖夜を祝してこの日だけの特別なコラボなどを展開する華やかなステージとなった。

 会場には開演前から山下達郎「クリスマス・イブ」といったクリスマスソングのオルゴール音源がBGMとして流れ、バンドメンバーもサンタ風の仮装姿で登場。場内は早くもクリスマスムードに包まれる。そしてライブは、この日の出演アーティスト全員によるきゃりーぱみゅぱみゅ「Crazy Party Night〜ぱんぷきんの逆襲〜」のカバーでスタート。まずはpetit miladyが登場して1番を歌い、2番からはPyxis、山崎、村川も姿を表して歌い継いでいく。エレクトリカルパレード風の賑々しいテクノポップサウンドがパーティー気分を高めていく。

 先ほど夕飯をみんなで一緒に食べて親交を深めたという彼女たち。それぞれ自己紹介を行った後は、このなかでいちばんキャリアの長いpetit miladyの二人が「まずは先輩たちが場を温めておくから」(悠木)、「みんなは裏でみかん食べておいで!」(竹達)と先陣を切ることに。「聖なる夜にピッタリの曲です」(竹達)、「みんなも同じ気持ちなんじゃないかな」(悠木)との言葉に続けて歌われたのは、ジェットコースターのように緩急の効いた曲調が楽しい「#彼氏いません」。乙女な妄想が渦巻く歌詞もクリスマス仕様にするという芸の細かさだ。

 そこから可愛らしいアップ「ぼくのティンカーベル」へと繋げて、コケティッシュな魅力を振りまくpetit milady。だがここで「petit miladyってカッコイイ曲もあるので」(悠木)と歌われたのが、彼女たちのナンバーの中でも屈指の人気曲「azurite」。原曲はエモーショナルかつ爽やかなロックチューンだが、ここではピアノ一本のみを伴奏にしっとりと歌うレアバージョンでの披露だ。目を伏せながら、感情を込めて噛み締めるように歌う二人。特に落ちサビにおける悠木の細やかなビブラート、竹達の繊細なファルセットから、声を合わせて歌う最後の一節<青い空>までのくだりは、実に感動的だった。

 そしてここからはソロコーナーへ。悠木は先日に日本コロムビアからリリースしたばかりの移籍第1弾シングル「永遠ラビリンス」を、声量たっぷりの歌声で元気良く歌唱。<FlyingDog>時代のアーティスティックな方向性も素晴らしかったが、彼女の活力漲るパフォーマンスとお客さんの盛り上がりを見るからに、ストレートな魅力を持ったこの楽曲も彼女の代表曲として今後長く愛されることになりそうだ。

 続くMCで竹達は「永遠ラビリンス」のサビを口ずさんで「私その曲すごく好き。ライブのときにカバーさせてもらいます」とラブコール。悠木も「私も彩奈の肉のアレ歌いたいんだ」と会場を沸かせて竹達にバトンタッチする。「ここはやっぱり私の大好きな、お肉大好きな気持ちを込めて歌いたいと思います!」(竹達)と宣言して歌ったのは「ライスとぅミートゅー」。先日彼女がソロでのベストアルバムをリリースするに際して行った人気投票でも見事1位に輝いた、ライブの鉄板曲となっているお肉讃歌だ。瞬く間に「ビーフ!ビーフ!」などのコール&レスポンスが巻き起こり、最後は会場が一丸となってジャンプして最高潮の盛り上がりを見せた。

 そしてステージ天井のミラーボールが回り始め、悠木、竹達、山崎によるクリスマスメドレーの時間に。「赤鼻のトナカイ」「サンタが街にやってくる」「ママがサンタにキスをした」の3曲をバンドのハッピー感溢れる演奏に合わせて楽しく歌っていく。途中からは悠木と竹達の先輩2人が山崎を挟み込む形で身を寄せ合って歌い、山崎は「プチミレお姉さまとコラボしてしまった…!」と嬉しそうに語る。竹達の「エリイちゃん、何度も聞いてるだろうけどもういっぺん言っていい? めちゃくちゃ可愛い!」という言葉に、正妻(?)の悠木が嫉妬する一幕もあったりと、イベントは仲睦まじく進行していった。

 続いては山崎のソロコーナー。まずは「私からみなさんにホワイト・クリスマスのような曲をお届けしたいと思います」と、1stアルバム『全部、君のせいだ。』より感謝の気持ちを込めた清らかなバラード曲「My first love」を披露する。もともと同じ声優の木戸衣吹と共にevery♥ing!というユニットで活動し(2017年11月をもって活動休止)、昨年にソロデビューした彼女。歌唱力については以前から高く評価されており、ホリプロスカウトキャラバン出身ということもあってタレント性も抜群だ。

 「これが20歳になって初のソロでのイベント出演なんですよ。もうドッキドキで、周りのキャストのみなさんが豪華な先輩すぎて……!」と語った彼女は、続いてタンバリンを片手に艶かしい歌謡ロック「Lunatic Romance」を歌唱。先の「My first love」ではお客さんに優しく微笑みかけるような表情を見せていたが、こちらでは一転してクールな顔つきになり、マイクスタンドに手を這わせるような仕草も取って色っぽい一面を広げる。そこから「行くよ!」という掛け声と共に溌剌としたロック曲「星の数じゃたりない」へと繋げ、優しさ、艶やかさ、力強さ、というそれぞれ異なる魅力を持った3曲でシンガーとしての幅の広さを提示してみせた。

 その後、全員参加のトークコーナーで、プライベートパーティーの費用を賭けた「一発勝負」が行われるも、「リコーダーでドの音を一発で出す」というお題では村川がピーッ!と高音を鳴らしてしまい失敗。「Siriに英語でいまの時間を聞く」では竹達がSiriに「What time is it now?」と語りかけるも何故か近所のツナの美味しい店をレコメンされ、「パターゴルフを一発で入れる」も豊田が最初から外してしまい、ことごとく失敗に終わった。このあたりの楽しい余興も客席からは笑いが絶えず、クリスマスパーティーらしい雰囲気が出ていたように思う。

 ここからライブは後半戦へ。山崎と豊田というレアな組み合わせで歌われたのは、タンポポ「王子様と雪の夜」のカバー。オリジナルの振り付けをコピーしつつ、間奏でお互い向き合って顔を近づけたり、落ちサビで背中合わせになって歌ったりと、可愛らしい振る舞いでオーディエンスを魅了していく。共に松田聖子好きとしても知られる二人だが、特に豊田はアイドル全般を愛して止まず、自分の好きなアイドルソングを紹介する『豊田萌絵のアイドル畑でつかまえて』(文化放送!超A&G+)というラジオ番組を持っているほど。タンポポも昔から大好きとのことで、カバーできて感慨深げだった。

 ここで山崎と入れ替わりで伊藤が合流し、Pyxisのターンに。まずは「私たち、ご挨拶がてらに新曲を披露したいと思います!」(伊藤)と、ニューアルバムより表題曲の「Pop-up Dream」からライブをスタートする。前後左右にせわしなく動きながらポジションを入れ替えて、息の合った可愛らしいアクションも込みで魅せるのがPyxisのスタイル。歌詞の<小指と小指つないで>の箇所では実際に小指を繋いでクルクル回るなどして、これが初披露とは思えないほどの熱狂を生み出す。続いて歌われた2ndシングル「ダイスキ×じゃない」では、事前のMCで練習したコール&レスポンスもバッチリ決まり、ステージを可憐に盛り上げてみせた。

 その後はソロ活動も行っている伊藤のコーナー。Pyxisではポップに振り切った楽曲を歌うことの多い彼女だが、ソロではより落ち着いた雰囲気のウェルメイドなポップスが持ち味となっている。「今日は1stアルバムの中から1曲、クリスマスにピッタリな可愛らしいラブソングを歌います」(伊藤)との言葉に続いて歌われたのは、横揺れのグルーブがアーバン感を強調するミディアム「No Color」。歌い終わった後に客席を見渡してニッコリと微笑む姿も、どこかいつもより大人びて見える。さらにこの日が初披露となった新曲「守りたいもののために」では、ステージ後ろのスクリーンにまだ一般公開前だった同曲のMVが投影され、その中に映る伊藤とステージ上の伊藤が同じビー玉を持ってシンクロするという演出もなされた。

 「ありがとうございました」とお辞儀して一旦舞台からはけた伊藤に変わって、ステージ中央から登場したのは村川。バンドが演奏し始めたのは、ユーミンこと松任谷由実による冬の定番曲「恋人がサンタクロース」だ。やがて両サイドから伊藤と豊田も再び登壇し、美しい3声を重ねてウキウキするような冬景色を描き出していく。赤をベースとした衣装の村川と、お揃いの真っ白なワンピースを着たPyxisの二人。ステージ上ではクリスマスカラーの3人が麗しく踊る。なお、松田聖子のカバーでも知られるこの曲、豊田は当然ながら「私は聖子ちゃんバージョンで聴いてた」とのことだ。

 ソロのラストを飾った村川は、まずゴシック風味のロックチューン「Night terror」を投下する。ダークな歌詞に艶めいたメロディ、どこか妖しさを帯びながらもキリッと引き締まった歌声が独特の世界観を広げていく。そこから「みんな盛り上がっていきましょー! 行くぞっ!」とシャウトしてスピーディーなラウドロック「レクイエム」へと転じ、アクセルを一気に踏み込んでフロアの熱を上昇させる。彼女は普段のユニークな言動からは想像もつかないほどのシリアスなパフォーマンスを見せ、終盤ではOiコールも発生するほどの熱狂ぶりとなった。

 「最後にこの季節にピッタリの曲を歌いたいと思います。みなさん12月末ぐらいの気持ちになれるんじゃないかと思いますので……」と、村川らしい曲紹介に続いて披露されたのはズバリなタイトルの「Snow Christmas」。ゴージャスなオーケストレーションとそれに負けないぐらいリッチな彼女のボーカルが祝福感を導き出し、趣きたっぷりに聖夜のムードを演出する。悠木が「りえしょんの生歌初めて聴いたけど、めっちゃ上手いな!」と評価したのにも納得の堂々とした歌いぶりだったように思う。

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