フルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史 特別鼎談 「やっぱり人のつながりが一番だ」

フルカワ×LOW IQ 01×荒井鼎談

 フルカワユタカが、1月10日にニューアルバム『Yesterday Today Tomorrow』をリリースする。そのリリースを記念して、今回リアルサウンドでは、作品のゲストボーカルにも参加しているLOW IQ 01と荒井岳史を迎えた鼎談が実現。古くからそれぞれを知る3人だからこそ語れるバンド〜ソロ活動のヒストリー、その中で得た経験など、貴重な話を聞くことができた。(編集部)

共闘意識みたいなのはものすごくありました(荒井)

ーーまず最初に荒井さん、イチさんがフルカワさんといつ頃どのように出会い、どのような印象を持たれたかというところから聞かせてください。

荒井岳史(以下、荒井):僕は、彼がDOPING PANDA時代に知り合って。ちょうど田上(修太郎/TGMX aka SYUTA-LOW TAGAMI)さんが仲介役的な感じで紹介してくれたんです。初対面の印象は……今でこそすごく物腰の柔らかい、メガネの角もだいぶ取れた感じになりましたけど(笑)、当時は尖っていたという。メガネも尖ってたし、なんせアティチュードがね(笑)。

LOW IQ 01:誰の悪影響だかな〜(笑)。

フルカワユタカ(以下、フルカワ):今日はこういう日なんですね(苦笑)。

荒井:ロックスターを地でいきすぎていて、最初は「この人と仲良くなれるのかな?」って思いました。

LOW IQ 01:どっちが年上?

荒井:僕が1こ下なんですけど、タメ語なんですよ。

フルカワ:バンアパは4人ともそうだよね。

荒井:そう、昔から。そういう憎まれ口を叩きながら、お互いやってるみたいな関係性でした。

ーー年齢も近いですけど、バンドをスタートした時期もドーパンとバンアパは近いですよね。だから、一緒に戦ってるような感じというのはあったかと思うんですが?

荒井:そういう共闘意識みたいなのは、ものすごくありました。当時はいわゆるメロディックパンクの人たちと僕らみたいなタイプのバンドと、大きくふたつぐらいに分かれていたので、そういうテンション感で一緒にやってきた感覚があります。

フルカワ:僕らはバンアパとやる前は、ずっとHAWAIIAN6をはじめとしたメロコアやパンクのシーンでやってきて。でもバンアパが出てきて、僕らも触発されてサウンドを変えていったというのがあったんです。そういう意味でも、初期の戦友みたいな気持ちが僕にはずっとありますね。

ーーなるほど。イチさんはいかがですか?

LOW IQ 01:僕はもともとドーパンとレーベルが一緒だったんですね。さっき荒井やフルカワも言ってたけど、時代的にはちょうど2000年くらいで、Hi-STANDARDが活動しなくなったタイミング。そこからメロディック系かロックバンド系かみたいな二択っぽくなっていって、DOPING PANDAはそのどちらにも属さない、とにかくシンプルでメロディがすごく立つバンドだったかな。最初は打ち込みっぽくない感じで、もっとシンプルでThe Jamみたいなイメージがあったんです。メンバーも3人とも素朴で、いい意味で普通のアンちゃんたち。それがのちに、鼻がどんどん伸びてきて、自分から「ロックスター」と言わせるようになるんですけど(笑)、当時はまだスターのスの字もなく。そういうドーパンを、レーベルのボスが推していたんですよ。それが出会いかな。

フルカワ:でも、ちゃんと話すようになるのはもっとあとになってからなんですよ。

ーーあ、そうなんですか。

フルカワ:もちろん僕もSS(SUPER STUPID)が好きでしたし、MASTER LOWとレーベルメイトだったことも知ってましたし。でも、当時は本当に怖かったんですよ、市川さんって。なんていうか、オーラがすごくて。だから喋る喋らないという発想にならなかったというか。だから、本当にちゃんと喋ったのは何かの打ち上げの流れで、俺ん家に来たとき。バイト時代に住んでいた、世田線沿いの安いワンルームに。覚えてます?

LOW IQ 01:打ち上げのあとだったかわかんないけど、田上が「これからフルカワん家行こう!」と言って。それで、灰皿にすげえタバコの吸殻が溜まっていて、嫌だなって思ったのを覚えてる(笑)。

フルカワ:もう田上さんにプロデュースしてもらってたから、メジャーに行く1、2年前かな。バンアパと『mellow fellow』っていうイベントを始めた頃で、そのぐらいまでちゃんと喋ったことなかったんです。

ーーってことは、2002年ぐらいですかね。

フルカワ:たぶんそれくらいですね。といっても、そのときもちゃんと喋ってないんですけど。俺が相槌を打ってるだけなので(笑)。音源を聴かせてもらいながら。「そうっすね、そうっすね、ですね」って言ってるだけ(笑)。本当に最近ですよ、市川さんと笑い話とかもさせてもらえるようになったのは。お酒を飲んだりするようになったのも最近の話なので。

 一言でまとめると自業自得だなっていう(LOW IQ 01)

ーー荒井さんはこの10数年にわたりフルカワさんのことを見てきたと思いますが、変化や成長を感じることはありますか?

荒井:僕の見た感じですけど、フルカワくんはドーパンがメジャーに行ってしばらくして一悶着して……まあ悶着したのかもわからないけど(笑)。僕から見た感じですけど、そこから何年か潜伏生活っていうか、くすぶってるみたいな時期があったのかなと思ったんですね。

フルカワ:バンドを解散してからでしょ? 全然あったよ。解散してすぐにソロアルバムを出してツアーするんだけど、うまくいかなくて。その後2年ぐらいはライブも年2本とか。

荒井:永福町あたりに潜伏してたよね(笑)。で、それが終わる頃に(下北沢)SHELTERで弾き語りをやろうっていう話になって、それぐらいから久々にフルカワとつるむんですけど、そばで見ていてブランクは自分でも感じていて、そこを脱しようといろいろやっているところなんだなっていう。そこを経て、今はものすごく弾けて、いい感じだなと。昔の後ろ向きな感じもなくなり。結構いろいろあったからね、それこそ酔った勢いで喧嘩もしたし(笑)。

フルカワ:あったね(笑)。まあここ数年でいろんなことがあって、Base Ball Bearのサポートを始めて、そのあとに市川さんのサポートをするようになって。そういったこともきっかけになってると思います。

荒井:俺も、市川さんのミュージックビデオを観たとき、こんなにもハジけてるフルカワを初めて見たと思って。

フルカワ:本当?

荒井:すげえ気合い入ってるなと思った。もちろん市川さんのサポートをしてるってことで、ただでさえ気合いが入るだろうし。ちょっと上から目線みたいになっちゃいますけど、頑張ってるなフルカワって思ったんです。それが曲の感じも相まって、すごいグッときたんですよ。

フルカワ:いやいや。もともとはひとつスイッチが入るとネジが取れてはっちゃけるほうなんですけど、斜に構えてる時期が長くてそのはっちゃけ方がわからなくなってたので(笑)。

ーーでは、イチさんから見てフルカワさんはどう変わりましたか?

LOW IQ 01:今の荒井の話を「うんうん、そうね」と聞いてきて、一言でまとめると自業自得だなっていう。もちろん音楽に対しての才能は俺も認めているけど、突っ張り方とかすごく間違ってるし、後ろ向きにっていうのも全部自分のせいでもあるわけで。でも、もがいたほうがいいんですよ。もともと、メジャーに行ってからの展開がちょっとうまく行き過ぎてたところもあったから、もうちょい自分たちでDIY的なことをやってからそういう場に行った方がよかったのかな。だから、近道したのか遠回りしたのかがいまだにわからない。まあ、そのくすぶってる感を考えたら、遠回りしたのかな。

フルカワ:ですね(苦笑)。

LOW IQ 01:確かにいろんなバンドから聞くんだよ、10年前のフルカワの話を。隅っこのほうにひとりでいて、「俺はお前らとは違うよ」ぐらいのスタンスでいたらしいし。でも、それは相当の努力をして、相当の自信がある人がやることだから。彼は普段からのそういうところが不器用なんですよ。そこを経て、また田上にプロデュースしてもらったりとか、荒井もそうだしバンアパもHAWAIIAN6もACIDMANも、やっと今こいつが自分から声をかけられるようになった。やっと帰ってきたねっていう感じがあるんだよ。

フルカワ:いや、そう言ってもらえるのは本当にありがたいです。

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