アルルカン、NOCTURNAL BLOODLUST、DOG in ThePWO…V系シーンに挑む次世代バンドたち

 近年の音楽ジャンル細分化もあり、いわゆる“V系”とカテゴライズされているバンドの音楽は好きな人以外には聴く前から敬遠されてしまっている傾向があり、一定のエリアから突き抜けることが難しい状況にある。

 そんな“V系シーン閉塞化”とも言える状況の中、全国17カ所で気になるイベントツアーが開催。それが若手の中でも異彩を放っているバンド、DEZERTによる『DEZERT Presents 【This Is The “FACT”】 TOUR 2018』だ。

 2017年に新木場STUDIO COASTで行われた第1回目の『DEZERT PRESENTS【This Is The“FACT”】』には武道館クラスの会場を経験している先輩バンド・MUCC、LM.C、A9と気鋭のバンド・NOCTURNAL BLOODLUST、アルルカン、DEZERTが出演。同じ演奏時間でステージに立ち、世代の違うバンドをぶつけ合わせるという試みが刺激的だったが、ツアーという形式で開催される今回は、主宰のDEZERTのほか、アルルカン、NOCTURNAL BLOODLUST、DOG inTheパラレルワールドオーケストラ、RAZOR、少女-ロリヰタ-23区の6バンドが出演。どのバンドもアリーナクラスでのワンマンライブをまだ経験していないこともあり、“次世代を担うべく、誰が頭一つ抜け出すのか?”、”誰が最初にアリーナクラスの会場にたどり着くのか?”、“誰が最初にヒットチャートでの大きな飛躍を達成するのか?”というテーマを含んだ、前回とは趣の異なるバトル型ツアーとなりそうだ。

アルルカン『puzzle』(通常盤)

 本稿ではその6バンドの中から3バンドをピックアップして紹介する。まず、アルルカンは2013年に「次世代名古屋系。」をコンセプトに結成された5人組バンド。結成1年目にして渋谷公会堂ワンマンライブを発表するなど、その勢いとスピード感も注目を集めた。激しさと切なさ、情緒的なメロディが印象に残る楽曲、対人関係で感じる違和感や孤独感、世間と自分の間に感じるズレを綴った歌詞の世界が共感を呼び、一度見たら“本気”が伝わってくる切迫感のあるライブで動員を増やしてきたバンドだ。

 ヴィジュアル面におけるアルルカンの一番の特徴はボーカルの暁のヘアスタイルで、ファンの間では“ツノミミ”と呼ばれている。また彼らのファンの呼び名は“ダメ人間”。人間関係に不器用だったり、環境に馴染めずにどこかで疎外感を感じていたり、欠落している部分がある人たちに愛を込めて付けられた総称だ。アルルカンは2017年の9月から4周年のアニバーサリーツアー『4th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR「凸凹」 』をスタート。2018年2月4日には『4th ANNIVERSARY ONEMAN TOUR FINAL「4→5」』と銘打ったツアーファイナルをTOKYO DOME CITY HALLで開催する予定で、5年目の動向に注目が集まっている。

アルルカン 12th SINGLE「puzzle」MV

 通称“ノクブラ”ことNOCTURNAL BLOODLUSTは2009年9月に結成された5人組バンド。“エクストリームミュージックの異端児”とも評され、V系なのかラウド系なのか、カテゴライズすること自体がナンセンスと思わせられるライブで、『LOUD PARK』などの大型フェスにも出演。縦横無尽な活動を繰り広げている。2017年の3月にはそれまでの活動の集大成とも言えるベストアルバム『THE BEST '09-'17』をリリース。その破壊力とヘヴィなだけではないメロディックな楽曲の魅力は音源でも十分に伝わるが、やはり、ノクブラの武器は一体感溢れるライブだろう。海外でも評価されているテクニカルな演奏、マッチョな肉体美でスクリームからハイトーンまで使い分ける尋のボーカル、バンドの中で最もヴィジュアル系を体現しているCazqui(7-strings)の華麗なギタープレイなど視覚的にも聴覚的にも楽しませてくれる。モッシュやウォールオブデスがあちこちで起こるフロアの熱量の高さも特色。

NOCTURNAL BLOODLUST - BREAK THIS FAKE(PV FULL)

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