petit miladyの新たな大冒険はここから始まるーーふたりが踏み出した5周年への第一歩

プチミレが踏み出した5周年への第一歩

 悠木碧、竹達彩奈からなる声優ユニット petit miladyが12月10日、4th LIVE『ラ・プチミレッタ~小さな淑女の童話歌劇』を豊洲PITにて開催した。

悠木碧
竹達彩奈
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 これまでもコンセプチュアルなライブを行ってきたpetit miladyが、今回の公演のテーマにしたのは「童話」。9月に発売された4thアルバム『petit miretta』の収録曲に則り、赤ずきん、かぐや姫、人魚姫といったポピュラーな童話をオマージュしたステージを披露した。アンコールを除き公演中はMCが一切なく、過去のライブのどれよりもストイックな形でオリジナリティー溢れる世界を表現。このふたりの歌声を存分に楽しむことができ、さらにユニークな劇では楽しげな笑いが飛び交う、なんとも愉快なステージを見せてくれた。

 「petit milady 夢組の悠木碧です」、「petit milady 肉組の竹達彩奈です」というふたりのアナウンスからライブはスタート。アナウンスの後、ステージ背面のスクリーンにプロローグのアニメーション映像が流れると、ふたりが流暢とはいえないフランス語(主にローマ字読み)を使い、たどたどしい台詞回しでストーリーテラーを担当。物語の中でふたりは双子の姉妹という設定。小屋に置かれた魔法のオルガンに触れたことで童話の中へと迷い込んでしまい、そこから脱出しようと冒険を繰り広げていくストーリーだ。そんなとことんコメディに寄せた内容は、“大人が試行錯誤して生み出した本気の悪ふざけ”という言葉がしっくりくる。会場を爆笑の渦へと巻き込むふたりのコンビ芸は、もはや結成4年目にして達人の域に達しているのではないだろうか。

 今回の公演で特徴的だったのは、『petit miretta』の収録曲をそのままの曲順で披露したこと。同アルバムには、このライブを見越してか、楽曲名と一緒に物語のタイトルが添えられている。たとえば1曲目の「Girl’s Jubilee」であれば、「歌劇『プチミレッタ』より プロローグ「Welcome to petit miretta!」」という名前がついており、同ライブでもふたりの登場曲として歌唱された。舞台に登場した悠木と竹達は、普段のふたりの空気感をそのままに軽快なやりとりを披露し、曲の前振りも芝居の中で行われた。たとえば、お菓子が食べたいという話をきっかけに「空腹からやりなおせ!」(歌劇『プチミレッタ』より 第二幕「失われたお菓子を求めて」)、ふたりが「わぁー、客席が緑の竹林だよー!」と言いだすと「らぶれたーふろむかぐや」(歌劇『プチミレッタ』より 第三幕「Space ☽ Bamboo☆Story」)が始まる、という具合だ。多少強引に、力技でぐんぐん進めていくのもご愛嬌。そんな傍若無人っぷりが許されるのもpetit miladyならではと言える。

 そんなおもしろ要素だけでなく、歌でも魅せてくれるのがpetit miladyだ。特に、童話というファンタジックな世界観をコンセプトに持つ『petit miretta』は、彼女達の可愛らしい歌声との相性が良く、ふたりの特性を存分に引き出したアルバムだった。キャラソン的なアプローチが光る「らぶれたーふろむかぐや」、<「ある日わたしが無防備だったらどっちにするの??」>と小悪魔的なフレーズが飛び出す「Eat or Love??」といった楽曲では可愛らしさをアピールする一方、徐々にテンポアップするにつれてエモーショナルなボーカルへと変化していく「人魚姫 (BPM of the 21st century)」やゴシック調のロックナンバー「Black Snow White」ではクールな一面も見せた。前述したように本編中は一切MCがなかったため、普段のライブと比べふたりの歌声が前面に出ていたように思う。また、演劇+パフォーマンスという組み合わせが、petit miladyの世界観をより強固なものにしていたように感じた。

 ライブも終盤へと差し掛かり、「Black Snow White」ではあおちゃん先生の指導のもと観客がラテン語のコーラスに挑戦したり、「魔法使っちゃった」の曲振りでは、ふたりを現実世界に呼び戻す魔法の言葉“スタンディングオベーション”を会場全体でコールするなど、常に観客を笑顔にする仕掛けを用意していたpetit milady。そして、『petit miretta』のリード曲「ぼくのティンカーベル」を終えたところで、物語の終わりを告げる鐘の音が会場に鳴り響く。おとぎ話の世界から抜け出すことに悲しみを覚えながらも、またふたりで来ようと約束の指切りをすると、エンディング曲と言える「One and Only Story」で本編は幕を閉じた。

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