乃木坂46、1期生の絆とグループへの思い 生駒里奈卒業と20thシングル選抜発表から考える

 乃木坂46が4月25日にリリースする20thシングル『シンクロニシティ』の選抜発表が、3月11日の『乃木坂工事中』(テレビ東京)でオンエアされた。

乃木坂46『僕だけの君 〜Under Super Best〜』(通常盤)

 今作のセンターは、6thシングル『ガールズルール』以来、約5年ぶり2度目の単独センターとなる白石麻衣。1月末日にグループからの卒業を発表した生駒里奈のポジションに注目が集まったが、結果は白石の後ろを担う2列目センター。生駒は「卒業シングルには絶対にしたくなくて、自分の中では1枚目から参加して20枚目最後なんで、さらに乃木坂46を良くするために頑張りたい」と自身が参加するラストシングルへの思いをコメント。MCを務めるバナナマン2人も、「生駒が中心にいるんだね」(日村)、「(フォーメーションが)7・7・7で、その真ん中だ」(設楽)とポジションの意味合いを示す。過去に、生駒は2列目センターのポジションを、『ガールズルール』『何度目の青空か?』『命は美しい』と3度務めており、白石の単独センターを支える適役である。放送の翌朝にはグループ全体を考え、秋元康からの生駒センターの卒業シングルの打診を断っていたことが報じられた(参考:日刊スポーツ)。

 今回の選抜発表で筆者が思い起こしたのが、昨年の『真夏の全国ツアー2017』明治神宮野球場公演、そして後の東京ドーム公演でもライブのクライマックスで披露された乃木坂46の全体曲「設定温度」だった。神宮にて生駒は<人を愛せば/やさしくなって/限界以上に/我慢してしまうだろう>という歌詞を引き合いに出し、「自分を犠牲にしてでも守りたいって思えるのが乃木坂46のメンバー」と語っていた。この生駒の言葉を体現したのが、まさに今回のセンター打診を断った行動そのものである。

 また、今回の選抜発表で目立ったのが、1期生の絆を感じさせるメンバーのコメントだった。高山一実、松村沙友理、白石麻衣はコメントの中で生駒の卒業に触れ、西野七瀬はメンバーが集まって何でもない時間を過ごすことの幸せについて話した。西野は、『EX大衆 2018年3月号』(双葉社)のインタビューにて、昨年の神宮公演での1期生パフォーマンスで、急速に1期生の絆が深まったと語っている。『乃木坂工事中』でも、3期生、2期生に対抗心が芽生えた1期生が初めて円陣を組む様子が映し出されていた。乃木坂46には、2期生楽曲として「かき氷の片想い」「ライブ神」、3期生楽曲として「三番目の風」「思い出ファースト」「未来の答え」「僕の衝動」があるが、デビュー時に選抜とアンダーで分けられたため1期生楽曲は未だに存在していない。このことに西野は「1期の曲が欲しいと思ってしまうんですよ」と明かしているのも事実だ。

 <誰かを思う気持ちはシンクロニシティ><言葉を交わしていなくても/心が勝手に共鳴するんだ/愛を分け合って>という「シンクロニシティ」の歌詞も、生駒をはじめとした今の乃木坂メンバーの気持ちを代弁しているように思えてくる。20枚目というグループにとって節目のシングルで、どのようなドラマを見せてくれるのか。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる