関ジャニ∞ 渋谷すばる脱退会見から伝わった、家族のような7人の絆とグループへの愛

 関ジャニ∞の渋谷すばるが、脱退することを発表した。ジャニーズ事務所も今年いっぱいで退所するという。7月から予定していた関ジャニ∞のツアーには参加せず、5月30日リリース予定のベストアルバム『GR8EST(グレイテスト)』が7人体制では最後の作品に。突然の報告にファンが混乱するなか、4月15日には記者会見が開かれた。背中の打撲で療養中の安田章大は出席できなかったもののメンバーみんなが集まり、涙を浮かべながらそれぞれの思いを語る真摯な会見に、渋谷がいかに愛されてきたかが伝わってきた。

「なんでや。いやや」

 村上信五が話したこの言葉は、ファンと同じ気持ちだったのではないだろうか。なぜそうしなければならないのか、という疑問。そして離れてほしくない、という寂しさ。何度も話し合いが重ねられたのも納得だ。なぜなら、近年の関ジャニ∞はまさにノリにノッている状態だったからだ。2012年より『NHK紅白歌合戦』に連続出場。 夏フェスにも参加し、バンドとしてロックファンからも高い評価を得る存在になった。2015年にスタートした冠番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)では、様々なアーティストとセッションし、ミュージシャンとしての可能性を大きく広げていた。デビュー当初、不遇な時代を乗り越えてきた仲間と、まさにこれからさらなる高みへ、というタイミング。メンバーが「なんでや」と思うのも当然だ。

「自分だけの責任で、どこまでやれるか賭けてみたい」

 脱退してまでやりたいこととは何か、関ジャニ∞でありながらソロ活動という形ではできなかったのか、そんな思いを抱く私たちに向けて渋谷が放ったのは「自分だけの責任で」という重い言葉だった。36歳という人生の折り返し地点とも言えるタイミング。渋谷は海外を視野に入れて、新たな音楽活動をスタートさせたいという。これまでを振り返り、渋谷は「楽しいことしかなかったですね。一人じゃなかったですから」と話した。関ジャニ∞の活動が充実し、むしろ絶好調の今だからこそ旅立ちのときと見据えたのは、渋谷らしい決断かもしれない。今なら自分が抜けても関ジャニ∞が倒れない、という自信と誇り。関ジャニ∞の発言には、いつもメンバーを仕事仲間以上の絆を感じる。今回の決断は、7人兄弟の次男である渋谷が、関ジャニ∞という家からひとり暮らしをしてみたい、と思ったようなものなのかもしれない。頼りになる兄のひとりが家を出る、関ジャニ∞の家を見守ってきたファンからすれば巣立ちを見届ける切なさに包まれる。

「すばるに負けないように、全力で前を向いて」

 「下を向いちゃいけない」と涙を浮かべて語ったのは、グループ最年長の横山裕だ。下を向けば涙がこぼれてしまう自分を奮い立たせるような語り口調だった。「すばるくんの歌声が一生聴けなくなるわけではない」と未来を思い描く錦戸亮。「メンバーということに変わりはない」と消えない絆を強調した丸山隆平。「(ファンを指す)“エイター”は、すばるから出てきた言葉。我々は受け継いで向き合っていく」と、渋谷の存在が今後も関ジャニ∞とファンをつなぎ続けることを語った村上。そして、大倉忠義は「悲しい、寂しい気持ちはあると思いますが、僕らと同じような気持ちで背中を押してほしい」とファンと同じ気持ちであることを伝えた。

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