けやき坂46、東京女子流、Maison book girl、わーすた、フェアリーズ…グループの個性際立つ新作

 欅坂46の妹分的存在であるけやき坂46の1stフルアルバム、再スタートを切った東京女子流のニューシングルなど、いまチェックすべきグループの新作を紹介。それぞれのグループの現状、メンバーのキャラクター、将来的なビジョンなどを楽曲のなかで昇華させる作家陣の手腕にもぜひ注目してほしい。

けやき坂46『走り出す瞬間』(通常盤)

 今年はじめに日本武道館3daysを成功させ、単独のテレビ番組もスタートするなど、着実にスケールアップしてきた“ひらがなけやき”の1stフルアルバム『走り出す瞬間』には“欅坂46のアンダー”から始まり、現在のポジションを獲得するまでのプロセスが生々しく刻み込まれている。「誰よりも高く跳べ!」「それでも歩いてる」「永遠の白線」といった人気曲に加え、初収録の新曲も充実。ノスタルジックなアイドルポップのスタイルを踏襲したサウンドと〈誰よりも自分のこと/わかってないんだ〉というラインが絡み合う「期待していない自分」、切なさと力強い意志を共存させたメロディとともに“夢を叶える日まで一緒に歩いてほしい”というメッセージを響かせる「約束の卵」といった楽曲からは、王道と個性を兼ね備えたこのグループのアイデンティティが伝わってくる。

けやき坂46 『期待していない自分』
東京女子流『kissはあげない』

 メンバーの脱退、路線変更などを繰り返しながら、今年から“お姫様になれなかった私達の、続きの話。”をテーマにリスタートを切った東京女子流。通算25作目のシングルとなる本作『kissはあげない』には、80年代シティポップと00年代エレクトロをナチュラルにつないだポップナンバー「kissはあげない」、近未来的なサウンドメイクと〈キスひとつでせかいを変えたいわ〉というドリーミーなフレーズがひとつになったアッパーチューン「キスひとつで」を収録。正統的なアイドルポップをさらに進化させたアレンジ、“キス”で括られた歌詞を含め、現在の東京女子流の方向性を明確に示した作品と言えるだろう。キュートネスと小悪魔的ムードをバランスよく融合させたメンバーのボーカルも魅力的だ。

東京女子流 / kissはあげない MUSIC VIDEO
Maison book girl『elude』

 変拍子、不協和音などを取り入れたサウンドメイク、コンテンポラリーダンスの要素を感じさせる振り付け、芸術性を追求したアートワークなどにより、アイドルシーンにおいて特異な存在感を放っているMaison book girlのニューシングル『elude』。リード曲「レインコートと首の無い鳥」は10拍子のトラックを軸にしたトリッキーかつエッジーな(つまり、きわめてブクガらしい)楽曲に仕上がっている。“忘れることを覚えた服”をテーマにしたMVの衣装、スクールカーストを想起させるオーディオドラマ「教室」(M3)はじめ、「elude」(=“逃れる”“忘れる”)というコンセプトに貫かれた作品全体の世界観を多角的に味わうのが正しい鑑賞法だと思う。

Maison book girl / レインコートと首の無い鳥 / MV

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