こぶしファクトリーとつばきファクトリーが築いてきた“ライバル関係” 対照的な最新作を機に考察

 20周年を記念して、多くのOGメンバーが日替わりでゲスト参加したり、「U. S. A. 」が大流行しているDA PUMPがサプライズ出演するなど、今年の夏ハロコン『Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project 2018 SUMMER 〜ALL FOR ONE〜/〜ONE FOR ALL〜』は例年以上に大きな盛り上がりを見せている。そんなハロー!プロジェクト20年目の熱い夏に現最新シングルをリリースした現役グループが、こぶしファクトリーとつばきファクトリーの2組。ともに2015年に結成され、同年3月に無期限活動休止したBerryz工房の精神を継承するべく“ファクトリー=工房”という言葉をグループ名に据えた、良きライバルであり姉妹的な関係性を持ったグループだ。

こぶしファクトリー『きっと私は/ナセバナル』

 この2組はどちらも研修生内ユニットとして誕生したものの、結成から3年の時を経た今では、キャリアや個性など、様々な点で好対照な存在となっている。その対照性は、彼女達がリリースした最新シングル=こぶしファクトリーの『きっと私は/ナセバナル』(8月8日発売)と、つばきファクトリーの『デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい/純情cm/今夜だけ浮かれたかった』(7月18日発売)の2作品にも鮮明に表れている。そこで本稿では、2組が歩んできたキャリアや最新シングルを通して見えてくる、こぶしファクトリーとつばきファクトリーの良きライバル関係について考えてみたい。

 ハロプロ研修生として活動していた藤井梨央、広瀬彩海、野村みな美、小川麗奈、浜浦彩乃、田口夏実、和田桜子、井上玲音の8名によるこぶしファクトリーの結成が発表されたのは、2015年1月2日。つばきファクトリーは同年4月29日に結成され、最初に選出されたメンバーは小片リサ、山岸理子、新沼希空、谷本安美、岸本ゆめの、浅倉樹々の6名だった。結成期間の差はわずか4カ月ほどだが、その後2組が歩んできた3年間のキャリアはとても対照的だった。

 まず順調なスタートを切ったのは、こぶしファクトリー。グループとして最初の楽曲となったインディーズデビューシングル曲「念には念」がハロプロファンの間で人気を博し、2015年9月には『ドスコイ!ケンキョにダイタン/ラーメン大好き小泉さんの唄/念には念(念入りVer.)』で早くもメジャーデビュー。同年末には日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞し、全国10カ所を回る単独ライブツアーを行うなど、結成から1年足らずで見事なスタートダッシュを決めた。

 一方、つばきファクトリーは2017年のメジャーデビューまで、長い雌伏の時を経験することになる。2015年から2016年にかけて3枚のインディーズシングルをリリースするも、大きな話題を集めることは少なく、メジャーデビューを待たずしてハロプロ研修生から小野瑞歩、小野田紗栞、秋山眞緒の3人が新たに加入。当初、最初に選ばれた6人には増員に複雑な思いがあったようだが、結果的にはこの新メンバー追加がグループの状況を好転させることになった。

 順風満帆なこぶしファクトリーと辛酸を舐めてきたつばきファクトリーのキャリアに、大きな転換期が訪れたのは、どちらも2017年。つばきファクトリーは2月に『初恋サンライズ/Just Try!/うるわしのカメリア』で待望のメジャーデビューを果たし、オリコンチャート初登場3位の好成績を記録。収録曲の中では、特に「初恋サンライズ」がハロプロファンの間で大きな反響を呼び、2017年のハロプロを代表する楽曲の一つとなった。同年末にはこぶしファクトリーに続いて日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得。現在に至るまで不動の9人で順調に活動するつばきファクトリーは、今やハロプロの中でもトップクラスの勢いあるグループとして注目されている。

 かたやこぶしファクトリーは、主演映画『映画版 JKニンジャガールズ』の公開という話題があったにも関わらず、2017年1年の間で3人のメンバーが脱退・卒業することに。現在は広瀬彩海、野村みな美、浜浦彩乃、和田桜子、井上玲音という5人編成での活動となっている。

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