THE BACK HORN、感謝と祝福で満ちた日本武道館 結成20周年ツアーファイナルレポ

バクホン結成20周年ツアー武道館レポ

 2018年に結成20周年を迎えたTHE BACK HORN。彼らが昨年10月より開催していた全国ツアー『THE BACK HORN 20th Anniversary「ALL TIME BESTワンマンツアー」〜KYO-MEI祭り〜』が、2月8日、日本武道館公演でファイナルを迎えた。開演は19時15分。客席をザッと見た限りでは来場者の年齢層に偏りは感じられなかったが、仕事帰りの人にもやさしい時間設定になっていたのは、共に年齢を重ねたファンに対する気遣いだったのかもしれない。

 ライブの始まりを飾ったのは、歴代作品のアートワークやリリース日などを振り返るようなオープニング映像。山田将司(Vo)、菅波栄純(Gt)、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)がステージに揃うと、4人はまず、バンド結成当初の気持ちを綴った曲(リリース自体は2015年)である「その先へ」を演奏した。ステージは広いのに、それに合わせてメンバー間の距離を長くとることもしていないようなセッティング。そんななかで歌われる〈とりあえず全部ぶっ壊そう 閃いたライブハウスで/世界が動き出した 1998〉というフレーズ。そこから音を途切れさせることなく「ブラックホールバースデイ」へ繋げると、裸足で走り出す菅波、軽快な足取りで歩く岡峰が左右の花道へ繰り出していく。メジャー1stシングル表題曲「サニー」で最初のブロックは終了。「日本武道館、どうもこんばんは! THE BACK HORNです!」と、松田の挨拶がどこまでも爽快に響いた。

 今回のツアーのことをメンバーは、「みんなへの感謝やまだまだやってくぞという想いを共有するツアー」という風に言っていたし、「周年を祝うだけでなく、みんなが今日まで生きてこれたことを祝福するツアー」とも言い表していた。セットリストは、インディーズ期にリリースされた楽曲から昨年リリースされたばかりの新曲群までを網羅した内容。元々根っからポジティブなことを歌っているバンドではないし、大会場ならではの特効はあったものの全体的に照明は薄暗いし、祭りといえども分かりやすくハッピーな空気に満ちていたわけではない。しかし、4ピースの枠をはみ出さんとする大胆で爆発力の高いアンサンブルで以って、“生きるとは”ということやそれに伴う絶望と希望を一貫して鳴らしてきた、そのようにして包括的な共感ではなく芯からの共鳴を起こしていった、このバンドだからこそ生み出せた場面がいくつもあったように思う。この日の武道館には、“バンド対オーディエンス多数”ではなく“一対一”が場内の人数分だけ存在しているような、一体感とは逆の温度感があった。

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