乃木坂46、原点回帰の全曲披露 7thバスラで示した“育てながら勝つ”グループの最新形

乃木坂46“全曲披露”7thバスラレポ

 乃木坂46が2月21日から24日まで、京セラドーム大阪で『乃木坂46 7th BIRTHDAY LIVE』を開催した。

 乃木坂46のバースデーライブはこれまで様々な会場で形を変えながら行われてきたが、2018年のバースデーライブでは、当初のコンセプトであった“全曲披露”が姿を消していた。だが、今回は2年ぶりの全曲披露ライブ。西野七瀬の卒業公演であったDay4については別記事で触れつつ、本稿では4日間で披露された177曲のうち前半3日をメインに振り返りながら、グループが示した7年の歴史について迫っていきたい。

 まず、今回のバースデーライブはただの全曲披露でなかったことについても触れておく。全曲を披露したバースデーライブのうち、大きな流れとして“リリース順’という形をとったのは、2016年に東京・明治神宮野球場で開催された『真夏の全国ツアー2016 ~4th YEAR BIRTHDAY LIVE~』ぶり(参考:乃木坂46が神宮3デイズで表現した“バースデーライブの意義” 各日のコンセプトを紐解く)。2年連続でレコード大賞に輝き、東京ドーム公演やドームツアー、海外公演を成功させるなど、いまや乃木坂46はその当時からは比べ物にならないほどの人気を獲得した。ここ1、2年で応援し始めたファンが多いのは間違いなく、このタイミングで改めてリリース順に楽曲を披露するというのは、グループの歴史を振り返るうえでも3年ぶりという数字以上の意味があったと思う。

 となると、公演はもちろん1stシングルから始まるのだが、オープニングでは1期生オーディションの合格発表を再現するように、当時の受験番号で次々とメンバーの名前が呼ばれ、星野みなみがセンターを務める「ぐるぐるカーテン」からスタート。この演出については、のちに松村沙友理や井上小百合も「泣きそうだった」と振り返っていたように、この日のハイライトの一つに挙げられる名シーンだった。さらに、初期の顔であった生駒里奈が卒業したあとのセンターを同じフロントメンバーである星野が引き継ぐというのは、グループが次へ進んだことを明確に表す幕開けだった。

 1日目は生田絵梨花と(サプライズで登場したものの)西野七瀬が不参加、秋元真夏が途中合流ということもあり、この場面からもう一つはっきりと突きつけられた事実は、現役の1期生が少なくなったということ。だからこそ、1期生のみで披露された1stシングル楽曲を経て、2ndシングルからは2期生が、3rdシングルからは3期生が合流した演出は、そんな寂しさも吹き飛ばすくらい、後輩たちがここまで頼もしく育っているのだ、という証左にもなっていた。

 演出といえば、メンバーがワイヤーで吊られてドーム中を飛び回ったり、気球や空中ゴンドラで客席に近づいたり、サブステージも上階客席まで上昇したり、「君の名は希望」「悲しみの忘れ方」がストリングス隊とともに披露されたりと、今回のライブではより“ドームらしい”パフォーマンスや仕掛けをいくつも見ることができた。2017年の東京ドーム公演はそこに“到達した”メモリアルなもの(参考:乃木坂46、東京ドーム公演で示した“個性と自信” 新たなステージへの「きっかけ」を見た)、昨年の全国ツアーは企画色を強く打ち出したものだったのに対し、今回はドーム規模の動員を誇るアーティストとしてどっしりと構え、“魅せる”ことを考え尽くされたライブだったように思う。

 また、リリース順ということもあり、幕間でのVTRも歴の浅いファンに対して(これまでのバースデーライブとも被らない配慮もしながら)その時に起こった出来事をなぞらえつつ、新たな情報を盛り込んでいたのも象徴的だった。だからこそ、最初から登場せず、ストーリーの核として用意された3人のリリーバー、1期生ながら学業のために休業し、4thシングルで合流した秋元真夏と、加入直後の7thシングルで表題曲のセンターに起用された2期生の堀未央奈、圧倒的な歌唱力とタレント性を持ち、グループ内外で活躍を続ける生田絵梨花の登場シーンとともに披露された「制服のマネキン」「バレッタ」「何度目の青空か?」は、一層の盛り上がりをもって迎え入れられていた。

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 白石麻衣や西野七瀬らのモデル活動、生田・桜井玲香・井上小百合・樋口日奈の舞台出演、秋元真夏にとってのバラエティ番組、高山一実の執筆活動など、1期生は乃木坂46が“個々の才覚を伸ばせる場所”であることをその身をもって証明してきたし、その結果が現在の個性豊かな後輩たちを引き寄せたのは間違いないだろう。今回のバースデーライブでは、その蓄積を改めてパフォーマンスという形で、乃木坂46という物語の主人公は現在も彼女たちである、ということを突きつけてみせた。

 だが、すでに8年目に突入している乃木坂46は、“次の主人公”が続々と登場してきていることで、層の厚さを世間に知らしめてきた。その“次”はもうすぐそこまで迫ってきている。

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