花澤香菜、アーティストとしての新たな旅立ち エネルギーに満ちたバースデースペシャルライブ

花澤香菜バースデースペシャルライブレポ

 花澤香菜が、2月25日、TOKYO DOME CITY HALLでスペシャルライブ『KANA HANAZAWA Concert 2019 –Birthday Special 2019/02/25-』を開催した。

 ライブのタイトルにもあるとおり、この日は花澤香菜の30歳の誕生日。

 「祝・三十路!」と冒頭のMCで自ら笑顔で告げ、サプライズでバースデーケーキが運ばれる一幕もあった。記念すべき一日を集まったオーディエンスと共に祝うというとてもハッピーなライブだったのだが、それ以上に注目すべきポイントが沢山あった、とても充実したステージだった。

 というのも、この日は2月20日にリリースされたばかりの最新アルバム『ココベース』の楽曲を初披露するライブでもあったから。

 「この場所を基盤にして進んでいく」という意味合いを込めて花澤香菜本人が命名した「ココベース」という造語のタイトル通り、アルバムの内容自体も、30代となりアーティストとして新たな旅立ちを果たす彼女の今を刻み込んだもの。そういうアーティストしてのエネルギーを存分に感じさせてくれるステージだった。

 ライブは、その新作『ココベース』収録曲でフジファブリックの山内総一郎が提供した「マイ・ソング」からスタート。大歓声に迎えられ花澤香菜がステージに登場する。

 バンド編成はバンドマスターをつとめるギターの佐橋佳幸に、ベースは井上富雄、ドラムは高橋結子、キーボードに斎藤有太、マニピュレーターとユーフォリウムとフリューゲルホーンにゴンドウトモヒコという凄腕の面々だ。

 印象的だったのは、昨年のライブでもバンドマスターをつとめアルバム『ココベース』の制作にもプロデューサーとして関わった佐橋佳幸が、単なるサポートという役割を超えた大きな存在感をもってステージに立っていたこと。

 これまで数々のJ-POPの名盤にギタリストやプロデューサーとして関わり、山下達郎や小田和正など日本のポピュラー音楽界を代表するアーティストたちからも信頼の厚い彼が、今の花澤香菜の音楽活動にパートナーとして本気で向き合っていることがステージのムードから伝わってくる。

 OKAMOTO’Sが提供した「Change!」では1本のマイクを2人で分けあって歌い、チャットモンチーの橋本絵莉子が提供した「おとな人間」では切れ味のあるギターリフを見せる。

 MCでも花澤香菜と佐橋佳幸は和気あいあいとレコーディングの様子を振り返る。なかでも「私、この曲を歌うの本当楽しいんです」と花澤香菜が笑顔を見せ、「ここまでパンに対するなみなみならぬ愛情を見たのは生まれて初めてです」と佐橋佳幸が語った、在日ファンクの浜野謙太が提供した「パン」についての会話はフロアにあたたかなムードを呼んでいた。

 中盤からはアコースティックなセットへ。ここでカバーも披露した。昨年のライブでは槇原敬之の「もう恋なんてしない」、フジファブリックの「若者のすべて」のカバーを歌っていたが、今回の選曲はチャットモンチーの「染まるよ」。佐橋佳幸のアコースティックギター、高橋結子によるパーカッション、そして花澤香菜の声というシンプルな編成で歌われる「染まるよ」は、まさに絶品のカバーだった。

 新作収録の「ゆうのそら」、「初恋ノオト」「透明な女の子」とアコースティックセットで歌い、終盤ではバンドセットで再びぐっと盛り上がる展開に。岡本靖幸が作曲を、大貫妙子が作詞を担当した「ミトン」では、赤いミトンを手にはめた2人のダンサーがキュートなダンスを見せ、続く「大丈夫」でもチアフルな空間を作り上げる。

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