予想外の大ヒット!? 桐谷美玲主演『ヒロイン失格』の勝因を考察

『ヒロイン失格』の勝因は?
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 シルバーウィーク明け直後の先週末は目ぼしい大作の公開がなく、前週のトップ10と作品のラインナップはすべて同じ。しかも、3位以下は順位までまったく同じという完全な無風状態だった。

 先週の当コラムでも指摘したように、公開2日目以降は動員で『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』をリードしていた『ヒロイン失格』が、土日2日間で動員19万6496人、興収2億3382万5500円を記録して順当に1位を奪取。注目すべきは前週動員比88%という数字。なんと初週から数字をほぼキープし続けているのだ。前週動員比47%と半分以下にガクンと落ちてしまった『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』とは対照的だ。

 ここにきてロングヒットの気配も見せている『ヒロイン失格』。毎週このような興行に関するコラムを書いている責務上、トップ10すべての作品を観るのは現実的に難しいものの1位になりそうな作品はどんな作品であれ必ず観るようしているのだが、正直に言うと、『ヒロイン失格』がここまでのヒットとなるとはまったく予想してなかった。なので、慌てて上映2週目の劇場に観に行きましたよ。さすが大ヒットの真っ最中、平日の昼の回にもかかわらず客席は半分近く埋まっていた。しかも、ほぼ全員が女子高生。

 印象的だったのは、上映中、そんな女子高生だらけの客席から終始笑い声が絶えなかったこと。ありがちな少女マンガ原作のラブコメ映画と思いきや、実際に観てみるとこの作品、随所にCGなども駆使してかなりぶっ飛んだ作りになっているのだ。そのユーモアのセンスは確かにティーン向けで大人の(しかも男の)鑑賞に耐えるものかどうかは微妙なところなのだが、少なくともスベってはいない。で、この「スベってはいない」というのはこの種の日本映画にとっては非常に稀なこと。これは、アニメ『TIGER & BUNNY』などの作品も手がけてきたまだ20代の脚本家、吉田恵里香のテンポのいい脚本の功績が大きいのではないか。

 また、本作がコメディとして成功している理由は、一にも二にも桐谷美玲のコメディエンヌとしての意外なまでのポテンシャルの高さにある。桐谷美玲といえば「世界で最も美しい顔100人」の上位に毎年入っていることでも知られている。まぁ、そのランキング自体の信憑性は別にしても、とにかく顔が綺麗で、健康的なのに身体が異常なまでに細い。今作を観ていて改めて感心するのは「まるで少女マンガからそのまま出てきたような容姿だな」ということ。また、コミカルなシーンで変な表情もたくさん見せているのだが、どんな変顔をしてもあまりにも美人すぎて顔がまったく崩れない。劇場の大きなスクリーンで見るのが前提の映画において、そこは実は重要なポイント。他の女優ではなかなかここまで変な顔は恥ずかしくてスクリーンに晒せないだろうし、もし晒したとしても今度は観客が引いてしまうだろう。

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