剛力彩芽、斜め上のコスプレでなぜ人気者に? 『レンタルの恋』全力ダッシュな演技の魅力

 剛力彩芽が、現在放送中の深夜ドラマ『レンタルの恋』(TBS)にて披露しているコスプレ姿が話題になっている。剛力は、2007年に放送されたテレビドラマ『チョコミミ』(テレビ東京系)でデビュー。2008年にはファッション雑誌『Seventeen』の専属モデルとして活動し、その後タレント、女優業と活躍の幅を広げている。今や唯一無二の存在“剛力彩芽”として、誰もが知っている若手女優のひとりではないだろうか。

 小説『ビブリア古書堂の事件手帖』のドラマ版やコミック『黒執事』の映画版など、特に若者に人気のある原作もので主演に抜擢されてきた剛力。しかし、ビジュアルや年齢が原作のイメージと異なると、一部から疑問視されることもあった。また、いかにもヒロインらしい可憐なキャラクターを演じていたことも、彼女の魅力を十分に伝えきれなかった一因かもしれない。

 一方、『レンタルの恋』における剛力彩芽は、彼女本来の天真爛漫な魅力をしっかりと活かしている。恋人(彼女)のレンタルサービスを行う会社「RENTAL Lovers」の人気No.1レンタル彼女、高杉レミは、ファンにとって待望のハマり役といえるだろう。

 まず、剛力の振り切り方が爽快だ。“彼女”としてお客さんをめいいっぱい楽しませるために、時間内なら何だってする。相手の好きなものを完全に把握し、シチュエーションや相手の気分に合わせてピンポイントで微笑み、褒め、励まし、話題を振る。こんなことをされたら、誰でも勘違いして好きになってしまうのでは? と思わずにはいられない。お弁当やお菓子の差し入れといった前準備にも余念がないという徹底ぶり。言動にミスがなく完璧すぎる。まさに、理想的な彼女を演じあげるのだ。

 だが、それだけではない。このようないかにもテンプレの彼女像であれば、大抵の人は想像できると同時に、少々頑張れば実行に移せるのではないだろうか。NO.1になるのはそんなに簡単なことではない。レミちゃんはお客さん(私たち視聴者)の想像の斜め上をいくのだ。それが、このドラマでお馴染みになりつつあるコスプレ。

 コスプレと言っても、決して可愛い格好だけではない。『エヴァンゲリオン』の初号機、魔女っ子、ゴテゴテの原宿系ファッション、中世ヨーロッパのお嬢様風ドレス、清楚系女子高生、巫女さん、『エースをねらえ!』の宗方仁コーチなどといった多ジャンル様々な衣装を状況に応じて身にまとう。驚きのあまり、「そうくるか…!」という言葉が思わず漏れてしまい、毎回いい意味で期待を裏切られる。なおかつ、無駄にクオリティーが高く、剛力が真面目な顔でそのキャラクターになりきるのだから、否応無しに笑ってしまう。

 剛力自身が、一番しっくり来たコスプレは“スケバン”らしく、「かつら合わせから結構しっくりきていて、一番自分らしいかなって。自分らしいっていうのもおかしいですけど(笑)、結構かっこいいと思います」(参考:剛力彩芽、話題の“エヴァコスプレ”撮影裏話を明かす「あの時はどうしようかなと…」)と語っている。そんなコスプレを含めて主演の剛力が楽しんでいるからこそ、このドラマは面白い。彼女の全力ダッシュで駆け抜けるような演技に思わず笑みがこぼれてしまう。かつては背伸びした役柄を演じていた印象だったが、このドラマでは等身大の剛力を見ているようでしっくりくる。

 仕事(デート)中はキャッキャッしているのに、終了時間になった途端、無表情で機械的になるギャップもまたいい。何者なのか実態が掴めないレミちゃんが気になって仕方ない。さらに、宇梶剛士が出た回では剛力と宇梶が共演した腹筋マシン「ワンダーコア」CMを思わせるシーンなど、コスプレ以外にも笑いのポイントや予想外の展開が用意されているから癖になる。

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