仲里依紗VS波瑠、ついに接触! 『あなたのことはそれほど』不倫劇は何を示す?

 火曜ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)のストーリーが加速してきた。美都(波瑠)は、忘れられない初恋の相手・有島(鈴木伸之)との再会で舞い上がり、そのままW不倫の関係へ。夫は2番目に好きな人。有島こそ、運命の相手……そう信じる美都の言動は、誰から見ても浮気していることがバレバレだ。親友の香子(大政絢)には、まるで学生時代の恋バナのようなテンションで有島との関係を話してドン引きされ、母親の悦子(麻生祐未)も、上司の花山(橋本じゅん)も、そして夫の涼太(東出昌大)さえも美都の変化に気づく。

 バレていないと思っているのは、本人ばかり。罪悪感を抱くこともなく、だんだん大胆に、そしてリスクヘッジもずさんになっていく美都。9日放送の第4話では、ついに涼太も業を煮やし、浮気していることに気付いているのだと明かす。だが「それでも君を愛し続ける」と狂気に満ちた誓いを立てるのだった。

 美都の性格を考えると、涼太の言葉に反省して有島との密会をやめる、なんてことはないだろう。これまで、いくら親友の香子が怒っても、“ああは、なりたくない”と思っていた母親と同じ道を歩んでいると自覚しても、立ち止まることはなかったのだから。きっと、この不埒な恋路を断つキーパーソンは、有島の妻・麗華(仲里依紗)だろう。

 彼女は、登場人物の中でも群を抜いて、人のふるまいに対する感度が高い。有島が急に麗華の頬にキスをする場面では「やっぱイヤか、麗華は……」という有島の言葉から、すぐに他の女性の影を察する。「麗華は」ということは、「誰かさんは」イヤがらないのだ、と。

 そして第4話では、ついに美都と麗華が接触する。陶芸教室で、偶然出会ってしまったふたり。美都は感情のおもむくまま、有島の子にフラリと近寄り、汚れた手で触れようとする。美都の正体を知らないものの、その行動を警戒し、サッと我が子を抱き上げる麗華。広い視野を持って冷静に対応する麗華と、視野の狭さゆえに暴走する美都。このシーンでは、ふたりの真逆な性格が浮き彫りになった。

 印象的なのは、奔放で明るいパーソナルイメージを持つ仲が、クールで控えめな麗華を違和感なく演じていることだ。仲は麗華について「なぜこの役を私に? という疑問がうまれました(笑)」と公式HPのインタビューで語っている。一方で、母としてきちっとしていて、取り乱すこともない強い麗華に「自分とは違うけれど、彼女のそういう姿勢は理解できます」とも。仲自身も、既婚者。役柄をプライベートには引きずらないタイプとは言うが、家庭を守ろうとする芯の強さは共通しているものがあるのではないか。仲にとって新境地開拓となる麗華と美都が、どう対峙していくのかが、今後の見どころだろう。

 それにしても、思慮の浅い美都、表面的に優しい有島、歪んだ愛情を抱く涼太……これほど主要人物たちに共感しにくいドラマも珍しい。見た後には、若干の疲労感さえ漂う。それでも見続けてしまうのは、何かリアルに通じるヒントが見出せるのではと思うからだ。ワイドショーでは不倫騒動の話題が絶えず、結婚だけが幸せではなくなった昨今。お互いに運命の相手であろうと相互努力する結婚は、もはや幻想なのだろうか。フィクションだからこそ直視できる、不倫という禁断の扉の先。甘美な背徳感に溺れないために、何が必要なのかが描かれるのではと期待してしまうのだ。

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