V6 森田剛は“演技派俳優”として進化し続けているーー『ハロー張りネズミ』グレ役の魅力

 7月14日から放送がスタートした金曜ドラマ『ハロー張りネズミ』(TBS系)の評判が上々だ。7月21日の第二話こそ視聴率がやや落ちたが、一話は視聴率二桁代と好調な滑り出し。好評価の理由は、ストーリーも然ることながら豪華な出演者にもある。主演の瑛太をはじめ、深田恭子、蒼井優、リリー・フランキー、山口智子……と人気実力派俳優が勢揃い。それぞれの掛け合いも秀逸で、漫画原作独特のコミカルさとドラマならではのスタイリッシュさが感じられる。そんな実力派俳優の中でも一際注目されているのが、V6森田剛だ。

 森田の役どころは、主演である瑛太の相棒・木暮久作。通称「グレさん」。元ギャンブラーで洞察力が鋭く、暗い過去を背負っているものの普段は明るくノリが良いキャラ。男臭い風貌に似合わず涙もろい一面も。普段はバカをやっているが、実はデキる男か? と思わせる節が見受けられることもある。森田は、このキャラクターを寸分違わず演じているのだ。

 ここ数年で、森田は演技派のイメージが定着。故・蜷川幸雄監督の舞台や映画を中心に活躍しており、森田の演技は各方面から高い評価を得てきた。特に2016年に公開された『ヒメアノ~ル』は映画界でも高い評価を受けた。第18回ウーディネ・ファーイースト映画祭コンペティション部門、第19回上海国際映画祭、第20回富川国際ファンタスティック映画際に出品され、主演の森田の演技が世界中から注目を集めるきっかけとなった作品だ。

 しかし、森田が地上波のドラマに出演するのは2015年の『リスクの神様』(フジテレビ系)以来。『リスクの神様』の結城実役では飄々としつつもデキる男として活躍していたが、映画『ヒメアノ~ル』の森田正一役では狂気に満ちた演技を、舞台『ビニールの城』では不思議で歪んだ演技を見せており、マルチなイメージが付いてきている。そして今回の『ハロー張りネズミ』で見せてくれているのは、「バカだけどアツい男」。またひとつ、演技の幅広さを見せつけているのではないだろうか。

 たとえば、7月21日に放送された第二話には思わず笑ってしまうようなコミカルなシーンが多々盛り込まれていた。「(蘭子という名前を聞いて)古臭くない? あとなんか、訳あり女っぽいよね」、「25年前か……まだ童貞の頃だな」、「ほら、側近のデキる人のことを“右腕”って言うけどさ、じゃあ左腕はどんな人なのかなぁ?(ヤフー知恵袋で調べようとする)」などと言ったり、『北の国から』(フジテレビ系)の田中邦衛のモノマネをしてみたり。かと思えば高い調査能力を発揮し、すんなりと相手の住所を特定。ピッキングをしていとも簡単に事件関係者の家に侵入してしまう。しかも、勝手に侵入していたところを見つかってしまい、「あ、どうも。全然怪しい者じゃないんですけども……」「あ! 待って、待って! 俺怪しくないから!!」という頓珍漢なセリフを口にする。しかも、喋り方はどこか舌っ足らず。このキャラクタライズが、なんとも絶妙な塩梅だ。鍛え上げられた、森田の変幻自在な演技力あってこその役と言えよう。

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