“優柔不断なクズ” 窪田正孝と “苦悩のヒーロー” 新田真剣佑 『僕やり』キャラ際立つ第5話

『僕たちがやりました』第5話レビュー

 「逃げるってことはさ、やっぱ犯人てことなのかな。まあ、生きてたらなんだっていいんだけどね」と、気丈にトビオ(窪田正孝)を待ち続ける蓮子(永野芽郁)。15日に放送されたフジテレビ系火9ドラマ『僕たちがやりました』第5話は、女性キャラクターたちの存在感が急激に高まる回であった。

 まずは連絡が取れなくなったトビオを、市橋(新田真剣佑)とともに探す蓮子。先週トビオを見つけ次第殺すと宣言した市橋だったが、前述した台詞にあるような蓮子の堂々とした振る舞いに徐々に心を動かされているのがわかる。第1話では絶対的な悪役だったはずの市橋を、徐々に好感が持てるキャラクターにしているのは間違いなく彼女だ。

 矢波高のトップとして君臨しながらも、爆発によって体が不自由になった市橋。手下だった有原(吉村界人)が幅を利かせるようになり、勢いを失い自暴自棄になりかけている彼は、蓮子といるところを有原たちに襲われる。そこで市橋は、向けられたナイフで自分の腹を刺して蓮子を助けるのだが、これは自分を励まし続ける蓮子を何としても助けようとする捨て身の手段だったということがよくわかる。

 そんな“苦悩のヒーロー”であり続ける市橋とは対照的に、主人公たちは相変わらず剥き出しの“クズ”であり続ける。再び豪遊するために、伊佐美(間宮祥太朗)の金を奪おうとするマル(葉山奨之)は、逆に怪しげな女に金を奪われてしまい、自分の悪巧みを伊佐美に知られることに。そして、トビオは町で偶然会った今宵(川栄李奈)の家に転がり込むのである。

 この今宵というキャラクターは、回を追うごとにこのドラマの重要なポジションへと上り詰めている。トビオを匿いながら平然と学校に通い、トビオを探しに尋ねてきた蓮子に対しては素知らぬ顔を見せてひらりと躱す。トビオたちが爆発事件の犯人だと知っていながらも、それに臆することも、犯人隠匿で自分が捕まることも辞さない姿勢からは、独りで生きてきた少女の強さと、寂しさの両方を垣間見ることができよう。ドラマ性を秘めた部分と、“男子受け”を体現したようなキャラクターのギャップが、ますます彼女を際立たせているのだ。

 また今回は、トビオの家族の存在もひとつのカギとなった。トビオが母親からの留守番電話を聞く場面は、このドラマでは珍しく涙を誘う感動的なシーンとなったのだ。自分を心配してくれている家族の存在を意識し、そこそこ幸せな日々から決別する覚悟を決めるトビオ。自ら出頭せずに、ボウリング場でいざこざを起こして警察を呼ばせるあたり、トビオの優柔不断な性格をよく表しているのではないだろうか。

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