吉岡里帆、長瀬智也と坂口健太郎の間で揺れるーー『ごめん、愛してる』王道のラブストーリー展開へ

 「私、あの人のことが好き……あの人のことが好きなんだよ」いよいよ第二章に突入した日曜劇場『ごめん、愛してる』(TBS系)。8月20日放送の第6話では、「なぜそばにいるのか」という人と人を結びつけるものに焦点が当てられた。

 冒頭のセリフは、律(長瀬智也)への想いを自覚した凜華(吉岡里帆)が、親密になることに反対する恒夫(中村梅雀)に向けた言葉。「私ね、あの人のそばにいると気持ちが穏やかになる。やさしくなる。心がポカポカしてあったかいって感じるの。こんな気持ち誰にも思わなかった。ずっと一緒にいたいって思うの」その表情は幼なじみのサトル(坂口健太郎)に好かれようと頑張っていたころの凜華よりも、芯の強さが垣間見える美しさだった。

 母・麗子(大竹しのぶ)に捨てられた律と、サトルへの想いが届かずにいた凜華。寂しさを埋めるようにじゃれ合っていたふたり。だが、いつしか孤独に震えるおたがいの心を温め合う、代わりのきかない存在となった。

 「なぜそばにいるのか」その答えを一言で表すのは難しい。「愛しているから」「愛されたいから」……と、言葉にしようとすればするほど曖昧な表現になってしまう。だが、逆に具体的な理由を言えるとしたら、相手を自分のために利用しているとき、なのかもしれない。

 その典型的な展開が、サトルと婚約者の塔子(大西礼芳)だ。サトルは塔子から、婚約をしたのは父親への“見せつけ”だったと言われ、父親が他界した今、一緒にいる意味がないとまで断言される。麗子から無償の愛を受け、凜華がずっとそばにいてくれたサトル。塔子から「一度も好きになったことはない」と言われて、初めて自分がいかに愛されていたかを知ったはずだ。

 人には愛するチャンスというタイミングがあるのだ。サトルの場合は、そのチャンスは無情にも過ぎ去ってしまっていた。ずっと自分を愛してくれていた凜華は律のもとへ。傷心のサトルが連絡をするも、凜華は携帯電話の電源を切っていた。電波が繋がらないさまは、一方的な想いを表しているかのようだ。心臓に病を抱えるサトルは、次第に体調が悪化。運転していた車ごと工事現場に激突してしまう。意識を失う直前も、助けを求めて電話をかけた相手は凜華だった。

 律への愛を確信した凜華だが、その直後にサトルの事故の一報が入る。初めて心から愛する感覚を得た律と、ずっと想いを寄せていたサトル。ふたりの間で揺れる凜華が、どんな動きを見せるのか。凜華が、そばにいたいと思う相手とは……。

 一方で、麗子に愛されたいと願いながら、自ら息子だと名乗り出ることができずにいた律も、恒夫から「なぜそばにいる」と問いかけられる。脳内に爆弾を抱えた律は、残り少ない命を母親のそばで過ごすと決めた理由を、うまく言葉にすることができない。

 いつか“心がポカポカする”瞬間がやってくるのを律は期待しているのだ。だが、その想いは決して強要して手に入るものではない。愛されていなくても、愛されたくてそばにいたいと思ってしまう。そんな律の思いを代弁するかのような『ごめん、愛してる』のタイトルが重く響く。

 ふとしたきっかけで押入れにあった、麗子がサトルのために用意し、大切に保管している楽器やオモチャ、ランドセルたちを見つける律。自分が得られたなかった愛情を痛感する。だが、その顔は何かを受け入れたような表情。憎しみさえ抱いていた母と弟だったはず。だが、律のなかで“ 復讐のため”にそばにいるつもりが、一緒に時間を過ごすなかで愛情が芽生えているかのようだ。命のリミットが残りわずかに迫る律に、 実の家族を愛するチャンスがやってきたのだ。

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