長瀬智也、残された命とどう向き合う? 『ごめん、愛してる』吉岡里帆に迫った4択

長瀬智也、残された命とどう向き合う?

「僕の目はサファイアでできている。この目を取り出して、運んでおくれ」ツバメに頼み、 金や宝石でできた体のパーツを人に与え、自分はどんどんボロボロになってしまう『幸福な王子』。その寓話を読んで「かわいそうだよね」という若菜(池脇千鶴)に、「かわいそうじゃねえだろ。そいつは好きでやってるんだからさ。自分のものを人にやって、人の喜ぶ顔を見て自分も嬉しくなったんじゃねえか? だから“幸福な”王子っていうんだろ」とやさしく諭す律(長瀬智也)。若菜の息子・魚(大智)に持っている貯金を渡し、きっと心臓をサトル(坂口健太郎)に……思い返せば、律が持っていた指輪もサファイアだった。死期が迫る律は、このまま幸福な王子となるのだろうか。

 8月27日放送『ごめん、愛してる』(TBS系)第7話。律の脳内に残された銃弾は、着実に体を蝕み、手足のしびれや頭痛などが徐々に隠せなくなるほどに進行していた。残された命をどうするか。納得のいく生き様を探す、律の姿が印象的だった。

 親に愛されずに育った自分の“生きる意味とは……。そんなときに、心臓に持病を抱えたサトルに心臓移植が必要だという話が聞こえてくる。「私の心臓を移植して!」という実の母・麗子(大竹しのぶ)の叫び声と共に。「男は自分の母ちゃんを守らなきゃいけない」と魚に話した律が、どんな行動を取ろうと考えたのか想像に難くない。

 “1日1善”ならぬ“1日1膳”。大事な家族と1日1回食卓を囲むことを、律は生きるモットーとしていた。そもそも食事も、植物や動物の命をいただいているのだという意味だと改めて考えると、いつも丁寧に手を合わせて「いただきます」と言っている律は、命の連鎖の中で生かされているということを本能的に感じていたのかもしれない。人は愛や命をもらって、 初めて生きることができるのだ。

 サトルの看病と助けに応じられなかった罪悪感で、食事もろくに取れずにいた凜華(吉岡里帆)。律は凜華を強引に連れ出し、「1、俺とキスする 2、俺と寝る 3、俺と一緒に死ぬ 4、俺と一緒にここで飯を食う」という4択を迫る。律が背負う現実を知らない凜華にとっては、笑えない冗談のような4択。だが、凜華に触れたいという愛、生きたいという葛藤、死が迫っている恐怖、そして凜華には元気に生きてほしいという希望。その全てがこの4択に凝縮されていると思うと切なさが増す。

 「うまくて泣いちゃうな」 凜華が泣きじゃくりながら丼を頬張ると、 律はそう言って茶化した。食事は、命を繋ぐ。泣きながら食べ(生き)なくてはならないのが人生なのだ。律に「好き」と告白し、キスをした凜華。だが、“役に立たないと生きている意味がない” と考える律は凜華を守ることができないと考え、「ごめんな、ボケチン。俺は好きじゃねぇ」と拒む。 ポケットに突っ込んだままの手が、その頑なになっている心をそのまま表しているようだった。

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